【公開】
2019年8月3日(土)(日本映画)
【監督・脚本・編集】
田中征爾
【出演】
皆川暢二、磯崎義知、吉田芽吹、羽田真、矢田政伸、浜谷康幸、ステファニー・アリエン、蒲池貴範
【あらすじ】
名門大学を卒業後、うだつの上がらぬ生活を送っていた主人公・和彦。ある夜たまたま訪れた銭湯で高校の同級生・百合と出会ったのをきっかけに、その銭湯で働くこととなる。そして和彦は、その銭湯が閉店後の深夜、風呂場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知る。そして同僚の松本は殺し屋であることが明らかになり…。
75点
なんだこの映画は。正直パッケージから予想していた陰惨なブラックコメディとはだいぶ違う。確かに人は死ぬし、戦闘で死体処理してるのは看板に偽りなしだけど、よく見たらPG12指定ですらないし、この題材にしてみたら圧倒的に血が少ないうえに何故か血糊の色もオレンジがかっていて、不快感を与えすぎないようになっている。
普通だったらここで「インディーズのくせに日和りやがって!」と怒りたくなるが、別の楽しみがあるのがこの映画。
あり得なさを楽しむオフビートコメディとして最高だった。
まず主人公が銭湯に務めるまでも久しぶりに会った高校の同級生に勧められて面接に行ってほいほい就職。
その同級生はなぜか主人公にずっと無条件で優しい。親もニートの主人公にやたら優しい。
そして殺人処理現場を目撃してもこの映画は低体温。
見られちゃったから君も手伝ってと言われてあっさり順応する主人公。特に吐くとかもなし。
そしてオーナーや殺し屋側の先輩もあっさり主人公を信用して大事な部分を任せ、途中で帰ってしまうし、主人公に特別手当てを渡して解放してしまう。
いや、みんな不用心すぎるだろ(笑)。あのまま警察に駆け込まれてもおかしくないのに!(笑)
そもそも業務時間外に銭湯の明りがついていて、ボイラーが稼働していたらそれだけで怪しいはずだけど、そこら辺のリアリティはあえてガン無視しているのがスゴイ思い切り。
そして主人公はその手当に普通に喜んでそれで同級生を高級レストランに誘ってあっさり彼女になって貰ってしまう。どんだけ切り替え早いんだ。
そこから松本が殺し屋とわかってもあっさりしていたり、掃除の仕事に積極的に入りたがったり、先輩があっさり死んだり、リアリティのない描写が続く。銭湯に務めてるだけの息子が朝帰りの連続でも全く気にしない親もおかしい。
こんな緩い作り化と思いきやアクション演出に関しては松本役の磯崎さんがタクティカルアドバイザーでもあるから異常な気合の入りっぷり。このアンバランスさも可笑しい。
全然上等な映画じゃないけど歪さが癖になる。
キャストも主人公はとぼけて味わいがあるし、松本はやたら好青年だし、ヒロインは普通に可愛いし、先輩の殺し屋ルックは妙にリアルだし、怒鳴りそうで全然怒鳴らないヤクザのボスもいい味だし、みんなよかった。
あのフィリピーナも謎の存在感(笑)。それから青年実業家のあいつの腹立つ服装とか声の感じとか髭とかメガネとかも絶妙だった。
最後もヤクザのボスのはずなのにアイツ一人殺せばOKみたいになってる謎展開に笑ってしまう。そしてまさかの非情な展開に。
でもそこでも「ケチャップでした~」って笑かしに来るのがたまらん(笑)。
主人公オヤジの「銭湯の仕事って意外に危険なんですね」のセリフも爆笑。
何のつもりでこんな話にしたのかわからないが、人を散々殺してきたにもかかわらずイイ感じに人生着地させようとしているアイツらに違和感を覚えながらも爽やかなラストにほっこりしてしまった。
ジャンル分けしにくいっていうかこんな映画初めてみた。もっと話題になって欲しいな。
もちろん作りはゆるゆるなんだけどそれが不思議とマイナスポイントにならない稀有な映画だった。
