実はサッカー大国ではないフランスの選手育成法 | リーンのガラパゴスサロン~趣味や娯楽の広場

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 ブラジルW杯はとにかく話題が多い。前回優勝のスペインが1次リーグで敗退、ウルグアイのスアレスが起こした“噛みつき”事件、コロンビアの新星、ハメス・ロドリゲスが見せた輝き、と話題に事欠かない。だが、準決勝でのブラジルの敗戦は今回のトップニュースになるだろう。相手は欧州のサッカー大国であるドイツだから負けても仕方ないといえるが、1-7のスコアは無残としか言いようがない。ディフェンスが相手のマークを全くしないかのようにフリーにして、ドイツに簡単にゴールを次々決められた。ネイマールとチアゴ・シウバがいなければチームとして機能しないことが露呈した。個人の能力頼みでは優勝できないことが証明されたのがこの結果と言える。決勝戦はドイツとアルゼンチンに決まったが、もしも南米大陸開催のこの大会でドイツが勝つようなことがあれば、これはサッカーの地殻変動をもたらすかもしれない。南米の選手でも、有力選手は欧州各国でプレーしている。各国リーグの優勝を含む上位チームが出場するチャンピオンズリーグはおそらく、国別対抗のW杯よりもレベルが高く、そこでプレーする選手は当然技術の向上が図られる。結局、欧州各国のレベルアップにより貢献し、地理的環境が遠い南米やアジアは代表選手を集めて戦術練習もままならない。欧州優位の流れをはっきりと見える結果がブラジルの大敗と言える。

 仮にドイツが優勝したら、一番善戦したのは準々決勝で対戦したフランスということになるかもしれない。8年をかけて熟成したドイツに若手中心のフランスが0-1の僅少差で敗れたのは経験の差と言えるが、現時点ではフランス代表の前途は明るいし、2年後の欧州選手権に向けてモチベーションも高まるだろう。フランスが活躍するときは今までは決まって王様と言える絶対的な存在がピッチ上でチームを牽引していた。レイモン・コパ、ミシェル・プラティニ、ジネディーヌ・ジダン、といったところだ。だが、今回はカリム・ベンゼマが得点シーンで目立ったものの、ポール・ポグバやラファエル・ヴァランヌなどの若手が団結して戦った集団的要素が色濃いチームで、今までのフランス代表とは趣が違う。


 経済的視点でみて、フランスはイングランドやドイツのようにリッチなフットボール国家ではないから、なおさらわれわれは、ひたむきにしっかり働くことでしか、フットボールのクオリティを維持できない(255P)


 実はサッカー大国とは決して言えないフランスが必死に列強と伍している、その秘密が育成の仕組みにあるようだ。それは


一種のハイブリッド方式」(36P)


 といった、国単位の育成センター(INFクレールフォンティーヌ)と各クラブの個別育成チームの両輪による緊密なプログラムが代表の戦績を支えている。リッチな国のようにクラブが資金を提供できるわけではないのがどうやらフランスらしいのだが、それゆえに共産圏の国家単位のステートアマ養成をフランス風に取り入れる形をとって次々に選手を産み出している。細かいことを書けば切りがないのだが、とにかくサッカー関係者やフランス代表を知識として知っている人にはぜひともこの本を読んで、にわかファンの私が書ききれなかったノウハウや秘密を見つけ出してほしい。

フランスの育成はなぜ欧州各国にコピーされるのか―世界最先端フットボール育成バイブル/東邦出版
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 最後に、この本の帯の裏にはこう書いてある。この言葉をサッカーを愛する人に捧げて終わりとする。この言葉を信じれば、日本だって輝かしい未来が待っている。浮かれることなく、ひたむきに行けば、の話だが。


 第一に、日本には素晴らしい選手がいる。第二に、だが彼らはいい育成の恩恵を受けてこなかった。第三に、よって、もしいい育成があれば、素晴らしい選手がいまの10倍ぐらい出てくる。以上だ。


                クロード・デュソー