サラブレッドがテレビで主役を張ると、後日必ず故障する。
去る5月4日、京都競馬場で行われた春の天皇賞で1番人気に支持された武豊騎乗のキズナが4着に敗退したが、今朝(5月7日)になって骨折していることが判明した。症状は「第3手根骨骨折」で、9日に約4時間ほどの除去手術を行い、その後放牧されるという。
天皇賞は、キズナらしからぬレースだった。
ゲートを出てから最後方に位置するのはいつものこと。だが、1週目の正面スタンドに馬群がやってくると、キズナは前の馬と1馬身ほど距離を取って追走していた。余裕でついているというより、行きっぷりが悪くてやっとこさ前の馬についていっていると見て取れた。2週目の坂の下りも、予想ではもっと勢いよく先頭にたどり着くはずが、もたもたして4コーナーではやっと中段に取りつく有様。それでも上がり3ハロンのタイムは34,0秒と最速タイを記録するものの、大阪杯のレースを思えば煮え切らないレースぶりに、これといった敗因が思いつかず悶々としていた。
距離が長すぎた?
スタミナ不足?
それとも……?
だが、原因は故障だった。
キズナは有馬記念に間に合うとの報道もあるが、管理する佐々木調教師はあくまで
「馬の状態を最優先に回復状況を見つつ、今後のローテーションを決めたい」(時事通信)
と、慎重を期する構えだ。武騎手もHP上で
「悪いニュースではありますが、完治できる故障ですし、馬自身もあの負けが実力でなかったことがわかって、プライドを傷つけることなく済んだと思います。必ず強いキズナが戻ってきますから、そのときはまた応援してください」
とコメントし、復活を心待ちにする気持ちを吐露している。
ディープインパクトが引退して以来、筆者は競馬から遠ざかっていた。ホワイトストーン、ナリタブライアン、エルコンドルパサー、ディープインパクト、と好きな馬を見つけて応援するのが筆者の競馬との付き合い方だったが、無敗の3冠馬が引退して以来、興味は潮が引くように失せたが、昨年のダービーでその息子が戴冠して以来、競馬への愛情が少しずつ復活してきた。凱旋門賞もオルフェーブルよりもキズナの走りだけを気にしたし、ロンシャン競馬場の4コーナーでの上がり方をみて、来年(2014年)の挑戦を心待ちにしていた。
それが、一転して今年は全休する可能性になり、ちょっと暗澹たる気分である。
ナリタブライアンが3冠馬になった翌年、『ハンマープライス』というとんねるずが出演したバラエティ番組で、その馬のたてがみをオークションにかけるというコーナーがあった。厩舎関係者は迷信や運を非常に気にするが、たてがみを他人に持って行かれるのは運気が下がるというので嫌がった。そこで、ブラッシングした時にブラシについた産毛を持ち帰っていただいてそれを番組に提供することで妥協した。ところが、それがあって間もなく、春の天皇賞を前にナリタブライアンは股関節に深刻な故障を発症し、その後2度と競争能力は元に戻らなかった。
ディープインパクトだってテレビに取り上げられたので、サラブレッドすべてが単独で出れば故障するなんていうのは迷信もいいところだ。それでも、今回のキズナの骨折を思うと、どうしても『ハンマープライス』のことを想起する。
やっぱり、競走馬がテレビで単独で取り上げられたら、後日の故障を心配しろ!! やっぱり迷信を信じてしまいそうだ。『情熱大陸』で取り上げられたチームキズナの面々は、現時点では復活を期しているようだ。有馬記念に出走しなくてもいい。来年の凱旋門賞を目指したっていいじゃないか。筆者にとっての5頭目のフェイバリットホース、1年くらい待ってやろうじゃないの!!