達郎さんの完結な挨拶がLOVELAND,ISLANDの演奏に乗って聞こえた後、間髪入れずに聞こえてきたのはいつもの甲高いギターのカッティングだった。実質的なセットリストの最初の曲だ。
02、SPARKLE
なーなつーのーっ、うーみかーらー……。
「わー、動いてる。本物だ」
観客の中からツチノコを見つけたような驚きの声が漏れてきた。今回の夏フェスの模様はテレビ放映されるそうだが、達郎さんの場面はカットされるという。これからもコンサートではこんな女性のつぶやきが毎回聞かれるのだろう。実際に動いて歌う山下達郎は今でも希少価値が高い。でも、この曲が始まると
「わーっ!!」
と逆に歓声が上がった。達郎さんのコンサートのオープニングでは必ずかかる、なめらかでテンポのいい曲が今回も聞けることを喜んでいる人が今日もいた。一見さんではない人がステージ前にもいるんだ。
音が、音色が曇り空のもと、山中湖に溶けていくようだった。
山下達郎バンドの編成は、バンマス兼任の達郎さんを含めて10人だ。
歌やギターとMC担当のバンマス、
ドラム、
ベースギター、
もうひとりギター、
キーボードとピアノ兼任、
セカンドキーボード、
サックス、
コーラス(女性ふたり、男性ひとり)。
それぞれが醸し出すアンサンブルがステージから発散される。達郎さんはバンドひとりひとりの音色を明確に聞かせるために武道館やアリーナではコンサートをやらない。今回 Sweet Love Shower 2012は9月1日、2日で合計3万人が駆け付けたそうだが、LAKESIDE STAGEと名付けられたステージの前に広がるだたっぴろい広場に10人が紡ぐ音、コーラス、そして達郎さんの歌声が音像を明確にして迫ってくる。
「ここでSPARKLE聴けてよかったあ。毎回聞いていたこの曲は、こんなにいい曲だったんだ!!」
99年のNHKホールで聴いたとき、08年の大阪フェスティバルホールで聴いたとき、その時は感激して涙がほほを伝った。達郎さんの迫力に押された感じだった。今日は泣くことはなかった。生で20回近く聞けば、泣くなんていくらなんでもヤワすぎる。
7つのの海から集まってくる
女神たちのドレスに触れた途端に
広がる世界は
不思議な輝きを
放ちながら心へと忍び込む
キラキラしたトロピカルなサウンドが忍び込んできて、その心地よさに自然と体が細かくリズムをとって揺れた。この曲が作られた82年ごろはソニーのウォークマンで『FOR YOU』を聴きながら海で遊んだ人もいたんだろうな。夏だ、海だ、タツローだ、そんなキャッチフレーズがつくような時代に愛されたまくるめく音と歌声が、いま山中湖で繰り広げられている。
でも、間違いなく、12年の方がいい音をしているよね!
まさに山中湖に降り注ぐ達郎バンドのsweet love shower!!
そして間髪いれずに次の曲が演奏される。この曲は、特に久しぶりにコンサートを開く場合などにはSPAKLEのあとに必ず演奏される。
03、DAYDREAM
速いテンポに、言葉を短く詰め込んだような歌詞を達郎さんはこともなげに歌いこむ。達郎さんが自分の曲で吉田美奈子さんが書いた詩のなかでもっとも気に入っているといった曲で、とにかくライブで演奏されるとオープニングでつくられたノリの良さがここちよく持続する。
(ああ、今日のセットリストは“ライジングサン”と同じになるんだろうなあ)
それでもまったくかまわないと思った。
(次回に続く)