脱原発の日のブログ

12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いを共有した市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)


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「原発と放射線をとことん考える!」

いのちとくらしを守る15の授業レシピ

(家庭科放射線授業づくり研究会/編)合同出版

 

 

昨年夏に出版された本ですが、中高生の家庭科授業で食材の放射線を測ったり、ワークショップ形式を取り入れた被ばくリスクの学習が描かれています。

日本でちゃんとこういう先生たちがいて授業があって、放射性物質とはなんなのかを子ども自身が自分で考え調べて話し合っていることに、感動さえ覚えます。

 

家庭科という教科を積極的に「暮らしやいのち」と結びつけて、放射性物質の知識やエネルギー問題は必須になろうと考えた、有志の先生方が、各自の授業での実践とその記録を編集しています。

 

大前提となる原発とエネルギー問題についての授業は、日本社会の課題でもあり難しい問題と思いますが、ここでは「ワールドフェ」と「ロールプレイ」を組み合わせた「ぐるぐるミーティング」。あらかじめエネルギーに関して10人のいろいろな意見と立場の人たちの資料とセリフを配布。3~4人で1グループを作り、各班が一人を担当する。10班でそれぞれ資料について調べたりセリフを考えて発表する。各班半数はテーブルを移動していく。組み合わせを代えることで全員が、様々な意見や立場を知り、理解する。最後に「花はじき」(大きなおはじき)で一種の投票によって、自分の考えを表明する。

 

こんな手法で何週間もかけて学んでいくと、中高校生たちは大人とあまり変わらないというより、話し合うことすらできない大人社会より、よほど開かれた対話を実現して、想像力を働かせたり、相手の立場になって話し合っています。全体を通して、知らなかったことを自分のこととして感じたり考えられる授業になっていると思います。最後にでは、どんなエネルギーを選択するかはとても興味深く、多くの子供たちが原子力の限界や桁外れの危険性に気づいたり、それでもなお、すでに創り出したのだから使う方が良いという考えもありました。先生たちの資料作りは、あらゆる立場に関して対等で公正なもの、先生の考えで指導していない点も重要だと思いました。

 

そのあと生徒の感想にページを割き、先生の振り返りもあります。そこから「持続可能なエネルギーって可能なのか、かなり無理なのか」の授業へ入っていくと、データや資料はちょっと見た感じでは難しそうに見えるけれども、子どもたちはすでに自分のこととして詳細も読み込める「興味」を持続しながら、本当に望む社会を一人ひとりが選び取ろうとしていることが感じ取れます。

 

「被ばくと健康問題」という大人でも評価が分かれて研究を読み解くことも相当に難しいテーマについては、資料をもとに各自が調べて発表し、メディアの表現比較も含めた授業になります。よく知られている現実的な話題で自分に引き寄せるという目的で先生方が選んでいるのが「美味しんぼの鼻血問題」「甲状腺がん〜原発事故による健康被害」の「多発か否か」論争。

 

ここでは「正しい結論を導くのが目的ではなく、相対する知見のあることを知る」というのが先生方の指導の指標になっています。次は現在、日本の社会で議論し尽くされないまま、政府の方針で進んでしまっている除染です。「“除染”によって放射線量を減らす意味を考える」という章は、そのタイトルの立て方からも、軽々しく結論は言えないが考えるべきだということを表したものでしょう。

 

しかし生徒たちはここで「チェルノブイリ法」を学びます。そして、除染前と後の、環境省が公開している「山間部・平地・市街地」そのそれぞれの「宅地・道路・森林・農地」の実測値を学びます。実際に除染をしている福島のお母さんのコメント、田村市や川内村の避難解除の様子、大熊町・双葉町の中間処理施設決定など、ほとんどリアルタイムで現実を学び、東電福島第一原発の事故によって生まれている「汚染水対策」についても、その失敗と、失なった700億円を学ぶことになります。

 

その上で生徒たちは「除染に効果があるか、ないか」総合的に判断します。「ある」と答えた生徒のコメント、「ない」と答えたコメント、両方ともとても説得力があります。結果は「ある」は「ない」の半数くらいでした。

 

高校生はそのあとに「原子力発電はなぜ開発されてきたのか」の歴史授業、「草団子を作ろう」ヨモギを摘んできて放射線量を測定し、(やっと家庭科らしく?)草団子を作る授業で終了になっています。

 

末尾の解説編に資料満載:例えば

「ICRPの考え方と日本の基準」

ICRP放射線基準

「計画被ばく状況;事故のない平常時ー1mSv/年」

「緊急時被ばく状況;事故時ー20〜100mSv/年 」

「現存被ばく状況;事故後、平常時に戻る間の一時的な基準ー1〜20mSv/年」

を示して、現在はこの「現存被ばく状況」であることを図解。

 

<抜粋>しかし、「現存被ばく状況」にあたる第4段階(2012年4月以降)においても国の基準は20mSv/年のままだ。ICRPの基準は「1〜20mSv/年の下端に相当するような新しい参考レベルを(低い値になるようなレベルのものを)」となっているのに、上限の値を採用している。なぜなのか。政府からは「20mSv/年は安全である」という説明はあるが、上限値を採用している理由の説明はない。___________

 

全体を駆け足で紹介しましたが、最後の「おわりにかえてー3.11から教育は何を課題とすべきか」の最後に「未解明の研究」であるからこその「予防原則」を綴ってくれています。この本はその原則に則った科学的授業で、混迷の中にある日本の現在に、ほとんど見出せなかった真の希望を見いだすことができました。未来への礎になってくれることを願います。貴重な一冊、ぜひ手に取ってください。図書館へのリクエストもお願いします。

 

 (肥田舜太郎さんの紹介や、ECRRの評価などある丁寧な資料の中で、ちょっと

  嬉しいサプライズが。「ECRR(欧州放射線防御リスク委員会)は欧州議会の環境派グルー

  プ(緑の党)によって1997年に設立」とのこと。ECRRは緑の党が発端を作っていたと

  は、知らなかった〜(そのヨーロッパのイギリス・リバプールにて、今年3月末から4月初

  頭、世界の緑の党が一堂に会する「グローバルグリーンズ大会」があり、交流が深まったと

  ころです。詳しくは緑の党HPをごらんください)

                       http://greens.gr.jp/world-news/19863/

 

 

                             ※4月29日加筆修正

 

 

「原発と放射線をとことん考える!」

いのちとくらしを守る15の授業レシピ

(家庭科放射線授業づくり研究会/編)合同出版

 

http://www.godo-shuppan.co.jp/products/detail.php?product_id=524

<合同出版サイトより転載>

 

「家庭科」は、自分たちの日々のくらしから、くらしと自然・社会・政治の関係に目を向け、人と自然、人と人とが共生する社会を実現するための「いのちとくらし」の具体を学ぶ教科です。
 福島原発事故は、「いのちとくらし」を破壊する事故でした。いま、事故から5年が経過し、この出来事が風化していく懸念のなか、教育はこの課題と無関係であってはならないと考えます。
 本書は、子どもたちの原発事故に対する理解を深め、異なる見解の情報やそれらを批判的に見る力を育てる「家庭科」授業の実践集です。

 

目次

はじめに

○実践編
1 食品と放射線
 1 日本の伝統食「みそ汁」から「食の安全」を考える
 2 調理によって放射性物質は減らせるのだろうか
 3 海外と比較して日本の放射能測定のあり方を考える
2 エネルギーと原子力発電
 4 将来のエネルギーについて考えよう
 5 エネルギー問題を考えよう──「ぐるぐるミーティング」と「花はじき」で意思決定
 6 これからの日本の「原発」を考えよう
 7 持続可能なエネルギー源は、必要な電気量を「つくれる」か「かなり無理」か
3 くらし・子どもへの放射線の影響
 8 原発事故後の子どもの健康と放射線
 9 原発事故と住まい──避難した人の思い・避難しなかった人の思い
4 健康と放射線
 10 子どもの健康と放射線──絵本やビデオの視聴、実習を通して考えよう
 11 『美味しんぼ』の鼻血論争から、原発災害の健康問題について考える
 12 「甲状腺がん」──原発事故による健康被害を考える
5 科学と科学技術
 13 「除染」によって放射線量を減らす意味を考える
 14 原子力発電は、なぜ開発され続けてきたか
 15 「ヨモギ団子づくり」から考えはじめる放射能と科学・技術の授業

○解説編
1 放射線の身体への影響および安全基準
2 原子力発電に対する異なる見解
3 放射能汚染地域に定住するか・避難するか

おわりにかえて──3.11から教育は何を課題とすべきか

作者紹介

家庭科放射線授業づくり研究会

東日本大震災から半年が経った2011年10月末、「『いのちとくらしを守る』ことを標榜する家庭科教育が、東日本大震災を教材にした授業をしないわけにはいかない」という考えに賛成する個人が、地域を問わずに集まって発足。メンバーは家庭科教育に携わる小・中・高等学校・大学の教員からなる。研究会では、「家庭科とは何か」という本質的なテーマについての討論をはじめとし、各自の授業計画の試行実践、その報告と相互の検討、新たな教材や資料の用意・作成、授業計画の再修正と再実践をくり返し行なっている。2016年9月からは、新たなテーマで「いのちとくらしを守る」家庭科の授業実践研究をはじめる予定である。

        ______________________転載ここまで

 

 

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