週刊朝日広瀬隆さん談話 | 脱原発の日のブログ

脱原発の日のブログ

12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)


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  ひろせ・たかし 1943年生まれ。作家。早大理工学部応用化学科卒。原子力の危険性を訴えてベストセラーになった87年の『危険な話 チェルノブイリと日本の運命』(八月書館)、近刊『二酸化炭素温暖化説の崩壊』(集英社新書)など著書多数

 事故の経過を見ると、悲観的にならざるを得ない。
 14日に水素爆発で建屋が吹き飛んだ福島第一原発3号機はプル
サーマルが行われていたんですね。使われているMOX(プルトニウ
ム・ウラン混合酸化物)燃料は従来のウラン燃料よりも大量の放射
能を出す。3号機は圧力容器内の水位の変化を見ても、炉心の溶融
が相当進行していたと考えられる。非常に危険な放射性物質が、す
でに外部に出ている可能性は高いと思います。
「炉心溶融」とは、燃料棒が溶け落ちること。燃料棒には核分裂で生
じた放射性物質、いわゆる「死の灰」が大量に詰まっています。
 運転を停止しても「崩壊熱」を出し続ける燃料棒は水で冷やさなけ
ればならないのですが、ポンプが停止して水位が下がり、燃料棒が
水面から出て灼熱(しゃくねつ)状態になって溶け落ちた。燃料を包む
パイプのジルコニウムと水が反応して、どんどん水素が出ている。溶
けた燃料棒は2千度にもなり、水の沸点は100度ですから、どんどん
水がなくなってしまう。それを抑えようと最後の手段で海水を入れ始め
たわけですけれど、消防車のポンプを使っていて、水位は安定していま
せん。
 炉心溶融が進行すると、最後は燃料棒全部が溶け落ちる。とてつ
もない高温で、鋼鉄製の原子炉の容器を溶かしてしまう。それが
「チャイナシンドローム」と呼ばれる最悪の事態です。米国の「地中
を突き抜けて中国まで行く」というブラックジョークで、要するに釜が
溶けちゃう。実際は、地下水とぶつかって水蒸気爆発を起こし、大
量の放射性物質が飛び散る。炉心溶融は、その始まりというわけです。
 長期的に見れば、今起きていることは、ほんの始まりに過ぎません。
大事故に至る危機は、いったいどこの時点で終息したといえるのか。私
が考えるに、電気系統が回復して、ポンプで冷却水を循環させることが
できたとき、といえます。


 しかし、原子炉への水の注入を消防車のポンプに頼っている現状では、
復旧のめどはまったく見えてこない。水も入れただけではダメ。循環させな
ければ、いずれは行きつくところまで行ってしまうでしょう。
 日本で1基の原子炉が全部放射能を放出するような事態が起きた場合、
風向きや風力次第ですが、台風が日本を横断する時間と同様に、ほぼ1
週間で日本全土が放射能に包まれる可能性があります。逃げる距離も20
キロや30キロでは済みません。広い範囲にわたって田畑が放射能汚染を
受けるので、缶詰しか食べるものがない、というような世界になります。これ
が、私たちが懸念していた、原発事故の恐ろしさです。
 私はテレビやラジオで事実を収集していますが、東京電力や政府の発表
が二転三転しています。私が福島原発内部の職員だったら、パニックになっ
ていると思います。
 原発を制御しようとしている人たちも、どうしていいかわからない状態なの
でしょう。おそらく原子炉のデータを調べようにも、スリーマイル島の事故の
ときもそうでしたが、多分、コンピューターがパンクしている。残っている計器
も信用できない。水位も含めて推理で対応している部分がほとんどです。
 電源が回復しない段階では放射能を監視するモニタリングポストのデータ
も取れず、モニタリングカーを動かして測定しているようですから、放射能の
常時監視もできない。電源がすべて消失する「ブラックアウト」と似た状況で、
かろうじてコントロールルームに電灯がついているかもしれませんが、使える
計器が果たしてどこまであるのか。
 13日の東京電力の説明では、地震が起きた直後、制御棒を入れ、緊急
炉心冷却システム(ECCS)も一度は正常に働いたようです。ディーゼル発
電機も動き出した。ところが、津波によって、電気系統が海水につかり、駄
目になってしまった。発電機を持ち込んで電力が確保できたとしても、配電
盤から何から何まで水につかってしまって、すぐに動かすことはできない状
態のようです。
 これは、地震の揺れが原因ではなく、津波による災害です。時系列で見れ
ば、オイルタンクが津波で流出したのがポイントです。ディーゼルエンジンの
燃料が確保できなくなった。そこからECCSが注水不能になり、非常用ディ
ーゼルも海水をかぶった。津波によって全部が駄目になる仕組みになって
いたのです。
 今回の事故について、東京電力などは「千年に一度の巨大地震が起きる
のは想定できなかった」と言います。しかし、原子炉の大事故を起こす原因
として、だれもが真っ先に想像するのは「大地震」でした。
●過去にも大津波想定できた事故
 大地震が発生して被害が拡大しているとき、原子炉の事故による放射
能災害が重なり合った最悪のケースを想定して、地震学者の石橋克彦さ
んは「原発震災」と呼んで、問題提起を続けてきました。しかし、わが国で
は具体的な対策は、手つかずのままでした。「想定外」ではなく、大地震と
原発事故が同時に起こることは十分に考えられたのに、想定してこなかっ
たのです。
 津波も「想定できなかった」と言いますが、そんなことはありません。日本
」の沿岸地震では、ほんの100年ほど前に明治三陸地震津波が起こって
います。このとき、岩手県沿岸の津波は38メートルを記録しています。東
京電力も政府も「想定外」なんて言葉を安易に使ってほしくない。
 津波の原発被害については、門外漢の私ごときが去年発刊した『原子
炉時限爆弾──大地震におびえる日本列島』(ダイヤモンド社)にも書き
ました。言い換えれば、電力会社が検討しなかっただけなのです。

日本の原発史上、最悪の惨事が進行している福島第一原発
 また、テレビに出ている自称専門家は、今ある危機について正しい知識
を伝えていない。多くの専門家が1号機でも3号機でも水素爆発の際に、
いかに被曝量が少ないかを訴えていますが、それは大うそです。枝野幸
男官房長官も「微量だから健康に影響はない」と言っていますが、これも大
うそです。福島第一原発の周辺で、13日午後、1時間あたり1557・5マイ
クロシーベルトを記録しました。これに24時間と365日を掛けて年換算す
ると、通常の年間被曝量の1万3千倍を超えます。それで平気なのでしょう
か。レントゲンや航空機に乗ったときの被曝と比較するのは犯罪です。
 双葉厚生病院の人たちは、原発から約3キロ離れた場所で被曝していま
す。13日夜、現場に行ったジャーナリストの広河隆一さんから連絡をもら
いましたが、3台のガイガーカウンターが1千<マイクロシーベルトの目盛り
を振り切っていたということです。3キロ離れていてもそういう状態なのです。
 M9・0の巨大地震に続いて、長野や茨城沖でも大きな地震が続いていま
す。太平洋プレートの境界で大地震が続くだけでなく、過去の歴史から見る
と、フィリピン海プレートも絶対に動きます。地震が比較的少ない静穏期か
ら、江戸時代や関東大震災前後のような地震多発の時代に入った、といえ
ます。先述した石橋さんが94年に著した『大地動乱の時代』(岩波新書)で
紹介していましたが、近い将来に小田原地震が起こります。東海や相模湾
でいつ大地震が起きてもおかしくない。だから、静岡の浜岡原発は、どんな
ことをしても止めなくてはいけない。
 それだけではなく、戦前の記録で地震がかなり起きていた若狭湾も同様
です。若狭には13基の原発があり、地理的に津波が危ないし、活断層も
通っている。全国の54基すべての原発が、同様の説明ができるほど、危
ない状態にあるといえます。
 電力に関して言えば、原発をすべて止めても、大きな支障は出ない方策
はあります。たとえば日本中にある工場の自家発電機を全部動かせば、
原発分の電気をまかなえるのです。電気のために日本に原発が必要だと
いうのは間違いです。電気と原発は連動した問題ではないことを知ってくだ
さい。政治の決断があれば、原発をなくすことは可能です。僕が総理大臣
なら一瞬で世界を変えられます。
 15日になって2号機も水素爆発、炉心溶融の最後の危機に直面していま
す。もし1基でもメルトダウンから爆発という最悪の事態が起きれば、容易
に近づくことはできなくなります。今は止まっている4、5、6号機も含めて6
基すべてがメルトダウン、さらに福島第二原発にも被害が拡大という事態も
考えられます。
 最悪の事態を想定しながら、注意深く復旧の状態を見ていきたい。なんと
かこの危機を回避してほしい。日本の子供たちの将来がかかっています。
このままでは終わらせられません。

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