２０１１年作 「ワインの向こう」－２
今日は教室の日なのよね。
萌ちゃんとカナコが話してるのよ。
何の話かと言えば
制服の話なのよね。
「制服？・・・何の話だ？」
「中学の制服の事よ。」
「お前等、関係ないだろう？」
「先生、私達、春から中学生よ。」
「・・・・・・・・」
参ったな・・・。いつの間にか
そんなに成長してたんだ。
そう言えば、二人とも小学校に
入ったばかりの時に、俺の教室に
来たんだ。
カナコは、いつも足を捻挫ばかりして
白い包帯が絶える事が無くて
お母さんが、いつも心配していた。
萌ちゃんは、俺と話をするのに
１年も、掛かった引っこみ思案で
「せんせい、ここ、どうするの？」
て、初めて恥ずかしそうに
俺に喋り掛けた時、俺はどれだけ嬉しかったか。
考えたら、その頃から５年は
過ぎてるんだ・・・・・。
今の二人は、何が可笑しいのか
いつもケラケラ笑い転げてる。
絵も大人顔負けの絵を描けるようになってる。
おいおい、俺だけが置いてけぼりだぜ・・・・。
教室が終わって後片付けして
中華料理屋で紹興酒のグラスを
傾けながら
嬉しいような、淋しいような
不思議な気持ちを飲み干していたぜ。
キャンキャン
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しかし、寒い日が続くぜ。
キャンキャン