伊勢神宮 | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

赤福餅とほうじ茶

 11月の三連休の初日、おかげ参りに行きました。広い駐車場はどこも満杯です。車のナンバーを見ると福岡や品川、仙台など全国区です。地元の三重ナンバーは半分程度か。

 

 赤福餅を食べました。お餅にあんこを載せたシンプルなスイーツです。江戸時代、全国から伊勢神宮に参拝にやってきました。疲れを癒すには何と言ってもお餅です。現在のように甘いお餅になったのは大正時代で、それまでは塩を入れた物でした。江戸時代に砂糖は薬として処方されていたので高級品だったのです。

 

おかげ横丁で休憩する人々

 赤福本店で食べるお餅は格別です。五十鈴川が流れています。赤福餅二つにほうじ茶がついて400円です。このお茶が甘いお餅に絶妙。遠路はるばる伊勢の地に。ひとまずほっとする瞬間です。

 

おかげ横丁の賑わう街並み

 駐車場から神宮までにおかげ横丁があります。江戸時代の家屋を復元しています。以前はお店が看板を出して商魂むき出しの街道でしたが、看板は控えめでおかげ参りの風景が復活しました。そのおかげで売り上げは10倍!!! それは神様のおかげ神恩なのでしょう。

 

宇治橋と広がる境内

 宇治橋は一つの到着点です。12月22日の冬至の日、日の出を見に来るとここから太陽が昇ります。様々な想いを抱いて人々は全国からお詣りに来ます。

 

 伊勢を愛した鎌倉時代の歌人に西行法師がいます。

 

 何事の おわしますかは 知らねど かたじけなさに 涙こぼるる

 

 どんな方が鎮座されているのかは分かりませんが、その尊さ厳かさに涙がこぼれています。祭られているのは天照大神です。もちろん西行は祭神が誰か知っていたでしょうが、いざここにやってくると体全体の血が逆流するような感動を覚えたのでしょう。もとも神道には教えはありません。ドグマもありません。教えに従うことを求めたりはしません。

 

菊の花々

 宇治橋から参道に入るのですが、右手に見える庭園があります。神宮なので何気ない風景なのですが、この庭園は日本でも有数の庭園で右手奥の細道に入ると風情のある風景が見えます。参道を離れると植木の美しさだけでなく、それは異世界です。ベンチでのんびりしてお詣りするのもいいです。今は、三重県下から捧げられた菊愛好家がこの時期に献花します。

 

五十鈴川の清流と木々

 参拝前にお手水を使うのですが、五十鈴川で使う人もいます。五十鈴川は神路山を源流とする川で内宮はこの川が浸食した河岸段丘にあります。千年万年流れてよどむこともなく、静かに美しく流れています。

 

伊勢神宮の建物と参拝者

 神楽殿の横には神宮大麻を頒布する所があります。江戸時代、ここに全国から犬がお詣りに来ました。遠くて貧しい村ではここまで人を遣ることができません。そこで、犬にお金を持たせて遠路はるばるお札を受けに来ました。おかげ犬です。遠くは東北や四国から来てみごとお札を故郷に届けたという記録が全国に残っています。

 

 江戸時代、犬は里犬で地域で飼っていました。綱吉の生類憐れみの令以降、犬はその地域で飼って餓死させるようなことがあれば、地域全体がお咎めを受けました。犬は全国どこでも生きて行けた時代です。そして、親切な参拝者に連れられて、リレー形式でここ伊勢の地までお札を受けに来ることができました。

 

 神宮大麻というと、本当の大麻草が入ってるのかと言えば、本物です。しかし、この大麻は麻薬と違い祭祀に使われる物で無毒です。参拝者が、「大麻ください」と言っていて、伊勢神宮が麻薬を頒布しているのかと驚いたことがありますが、心配無用です。

 

伊勢神宮の建物と鳥居

 伊勢神宮の風日祈宮(かざひのみのみや)に来ました。伊勢神宮は125の社からできています。ここは風の神様が祭られていて、鎌倉時代にモンゴルが攻めてきたとき、ここから神風が起こり、戦わずして外国の侵略から国が守られました。

 

 神々は微笑みます。そして、すべてを受け入れます。神風が吹いたその翌朝、モンゴル軍の屍が福岡の海に浮かびました。人々は丁重に亡骸を葬りました。それは敵を越えた神々の深い悲しみなのです。

 

 「ユーラシアに住む蒼き狼の子孫達よ、東の極みの倭国になぜ来たのか。なぜ来なければならなかったのか。あなたたちは自分の意思で来たのか。それとも強いられて来たのか。欲がはらむと滅びとなる。私たちはそれを望まない。」

 

 今も世界各地で戦争があります。日本は平和を享受しています。いまほどこの社でのお祈りが必要な時代はありません。

 

伊勢神宮への参拝客、鳥居と石段

 いよいよ正宮にお詣りするのですが、この石段からは撮影禁止になります。11月も午後四時になるとお日様は傾いて神宮杉に囲まれた境内は暗くなります。放送で参拝は5時までとなっておりますと。

 

 ここでは無心に二礼二拍手一拝、国家安泰や世界平和、五穀豊穣など大きなお祈りをします。個人の願いをするのは帰路の途中にある荒祭宮でします。荒祭宮は天照大神の荒ぶる魂を祭る社なのですが、女神のご機嫌が悪くて荒々しい魂にお願いした方が御利益があるようです。人々は無口で粛々とお詣りしています。神宮の森はいたって静か。それが伊勢神宮の風景なのでしょう。

 

おかげ横丁の提灯祭り

 参拝を終えるとおかげ横丁にもどってきました。日はさらにかげって夕闇です。今、灯りの祭典が開かれていて、提灯が各所に点っています。

 

 今日三連休の中日、ますます内宮周辺は混むでしょう。内宮から伊勢市内に抜ける御幸道路は特に混みます。地図を見ると意外に空いているのが五十鈴川の一つ下流の橋に抜けるルートです。ここからですと、スムースに国道に23号線に合流します。気をつけておいでください。

 

 

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