W杯日本代表 帰国会見


サッカーのワールドカップロシア大会で、2大会ぶりに決勝トーナメントに進出し、7月5日の午前に帰国した日本代表。西野朗監督、キャプテンの長谷部誠選手。そして日本サッカー協会の田嶋幸三会長による記者会見が成田空港近くのホテルで行われました。

西野監督「4年後はベスト16突破を」

西野朗監督

日本代表の西野朗監督は、ワールドカップロシア大会で2大会ぶりに決勝トーナメントに進出した戦いを振り返り、「前監督の財産に加えて、本大会で自分たちでできることを探りながら選手たちは、本当にすばらしいサッカーを披露してくれたと思う」。

「結果としては、ひとつしか勝てなかったが、ワールドカップでの1つのプレー、1つのゴールの厳しさ、1次リーグを突破することや決勝トーナメントを勝ち上がることの本当の厳しさを知らされた」。

「日本はワールドカップで8年周期でベスト16にチャレンジしているが、このスパンではだめだと思う。次の4年後のカタール大会で、間違いなくベスト16を突破できる段階だと思う。選手たちが、それを必ず成し遂げる状態につなげた成果だけは感じたい」と話しました。

大きな成果をあげたわけではないが出し尽くした

また選手の戦いぶりについては、「十分、大きな成果をあげたわけではないが、本当に最大のチャレンジを出し尽くした選手の姿がロシアにあったと思う」。

「結果だけではない戦いぶりを多くの方に伝えられた。サッカー界が掲げるもっと高みの目標に向けて、下のカテゴリーにつながる歴史の1ページか、半ページくらいは示すことができたのが今回のチームだという気持ちがある」と評価しました。

選手たちに引っ張られた

西野監督は日本代表の監督に急きょ就任して、ワールドカップの戦いを指揮したことを振り返りました。
「準備期間が短い中、5月21日に選手に会い、今までの力だけではロシアで戦えないなと感じた。何かを劇的に変えることもこの代表選手たちであればかなうと考えチャレンジできることがあるのではないかと思った」。

ベルギー対日本 (2018年 W杯)

「選手たちの意欲や気持ちを私がサポートした感じだった。選手たちがリスクを負って進まないといけないとがむしゃらに貢献し、私は選手たちに引っ張られた。すばらしい選手だった」。

任期を全うした気持ちでいる

今後の去就については「契約の終了までという気持ちだけでやってきた。任期を全うしたという気持ちでいます」と話しました。

海外組と国内組の融合が課題

次のワールドカップに向け、今後の日本代表の課題については「若い世代の選手たちは本当に期待できる。スケールの大きいダイナミックな、そして日本らしいサッカーができる。その上で海外組と国内組の選手たちが融合しないといけない」。

「リーグのシーズンが違うこともあり、改善はなかなか難しいが、チームとしてどう融合へ持っていくか、考える必要がある」と話しました。

長谷部選手「日本の関心集められた」

長谷部誠選手

キャプテンを務めた長谷部誠選手は、「たくさんのサポーターの皆さんに現地にも来てもらい、日本でも多くの人たちに応援してもらって選手みょうりに尽きるし感謝したい」。

「大会前はあまり期待されてなかったと思うが、日本のみなさんの関心を集めることができたと思う。引き続き代表だけではなく日本サッカー界のいろんなカテゴリーのサポートをお願いしたい」と話しました。

前回の悔しさが予選突破

「前回のブラジル大会で失望感を味わい、その上に行くためにこの4年間をやってきた」。

「ブラジルで悔しさを味わった選手がチームをひっぱり、予選突破につながったと思う。今回味わった悔しさも次のカタール大会につなげてほしい」。

代表引退喪失感大きい

また長谷部選手は代表から引退することを明らかにしたことについて「10数年間、日本代表としてプレーし、この会見が終わると代表の活動はすべて終わりになるので喪失感は大きい」。

「今は99%の満足感と1%の後悔があり、その後悔は今後の人生につなげたい」と振り返りました。

田嶋会長「すばらしい試合、誇りに思う」

日本サッカー協会 田嶋幸三会長

日本サッカー協会の田嶋幸三会長は会見の冒頭でワールドカップロシア大会で2大会ぶりに決勝トーナメントに進出した日本代表について、「かかわったすべての選手、それに西野監督のもとに スタッフが集結してすばらしい試合を展開した。誇りに思うし感謝したい」と代表チームの活躍を高く評価しました。

その上で「サポートしてくれたファンを始めみなさんにも感謝したい。残念ながらこのチームはここで解散するが、次に向けてサッカー協会として、新たなスタートを切りたい」と話しました。

監督問題は白紙

日本代表の新しい体制については「監督問題は、白紙の状態だ。技術委員会で話した上で早い時期に決めたい」。

「選手については、今後はアジア大会や東京オリンピックなど、若い選手たちが出場する機会やチャンスが多くある4年間だ。今いる選手たちに加えて、新たな選手たちがどんどん出てくるよう準備しないといけない」と話しました。

西野監督は今月末まで

西野監督の去就については、「西野監督からは監督就任前に『今大会の結果がどうであれ、この大会まで』と言われたので、慰留することはしなかった。その約束はしっかり守りたい。今月末で任期は終了するが、違った形で貢献してもらいたい」と述べました。

西野監督「契約満了まで精いっぱい仕事させてもらう」


最後に西野監督は、自身が任期満了となる7月末をもって退任することを受けて、「契約満了まで精いっぱい仕事させてもらうが、ワールドカップの総括は、自分はできない。長谷部選手をはじめ、切磋琢磨して4年をかけて、ロシアを目指した選手たちのアプローチに、自分は最後の46日間一緒にやっただけ」。

「すべてを振り返ることはできないが、現場の選手たちの思いは想像以上に強かった。たくさんのスタッフに支えられていることも感じた。本当にありがとうございました」と話し、会見を締めくくりました。