最近、料理番組なんかで使われている言葉の内、どうしても馴染めない言葉が「塩味」を【えんみ】と読むこと。

 

 正しくは鹹味【かんみ】といいます。

 

 鹹は【しおから-い】【しょっぱ-い】と読み、鹹味を訓読みするなら【しょっぱみ】になるでしょうか。

 

 鹹は「鹵(ろ)」+「咸(かん)」から成り立っています。鹵(ろ)は塩を意味し、咸(かん)は「みな、ことごとく」という意味を表します。この二つが組み合わさることで、「塩辛い」という意味を持つ「鹹」という字となっています。

 

 塩は「鹽」が本字で、「塩」は新字体です。ここでも「鹵」という字が使われており、共通の部首となっているんです。

 

 鹽は「臣(しかり見ひらいた目)」+「人」+「鹵」+「皿」からできており、これは君主が塩(岩塩)を袋に入れ皿の上に載せて管理をしている様子で、どうして「塩」という略字になったのかは分かっていません。

 

 ただし、鹵は天然の塩(岩塩)、塩は人造の塩であるともいい、岩塩を水に溶かして、皿の上で再結晶化させる様子が「鹽」であるとも言われています。

 

 

 この鹹味というのは、五味から来ています。五味というのは前にも書いてるのですが……

 

 

 

 


甘味【あまみ】 甜味(てんみ)

苦味【にがみ】 苦味(くみ)

辛味【からみ】 辣味(らつみ)

酸味【さんみ】 酸味(さんみ)

鹹味【かんみ】 鹹味(かんみ)

 

 です。ちなみに、酸味は【すっぱみ】、鹹味は【しょっぱみ】とも読めます。

 

 【えんみ】という誤読、大分市民権を得ているようですけど、絶対に使いたくないですね。