27日目 | 誰でもいいから、私を抱いて・・・

27日目

歳をとると、自分が形成されてしまうので変わるのは難しくなる。

新しい事に挑戦しようとするのも、日常を変えるのも勇気がいる。


「子供も手が離れました。残りの人生を一緒に過ごしてもらえませんか?」

そんな告白をされました。50を過ぎてこの言葉は、とても勇気が必要で、半端な気持ちではない事がヒシヒシと伝わりました。彼はコーヒーを飲みながら、ぽつりぽつりと自分の気持ちを話してくれました。最初は娘を見る様な目で見ていた事、言葉を交わす度に女性として見る様になった事、若い頃の様な淡い恋心でいいと思っていた事、でも病気の事を聞いて失くしそうになりこのままで終わりたくないと思った事。

一流企業に勤め、地位もあり、定年後も心配ないだろう。体が動く限り働く、浮気もしない、困る様な事もない、大事にすると云う言葉に嘘もないだろう。この人と一緒にいたら幸せで穏やかな生活が出来ると思う。望む事は可能な限りしてくれるだろうし、セックスもきっと本当に本当に慈しむ様に私を抱くだろう。

「誰か好きな人がいるの?」普段の私なら、流してはぐらかす所だが、それはとても失礼で出来ず、私も正直に自分の気持ちを話した。大事な人がいます、今の私はその人しか見ていないし、全てなんです、ごめんなさい、と。

「最近の事でしょう?」「はい」「そうだと思ってた。もう少し早く言えばよかったかな。そうしたら違っていた?」「かも、しれません」「ありがとう。定年の時、もう一度告白してもいい?」「はい、すみません・・・」「その時一人だったら付き合ってもらえるかな?でも君は一途だろうからなさそうだな」「捨てられてるかもしれませんよ?」「その時は教えてね」と、彼は笑った。

指輪のサイズがわからなかったと用意してたピアスは受け取る事が出来なかった。「これも7年後また断っても今度は貰ってね、何かあったら相談して、仕事戻るよ」と、笑って席を立った彼を、その場で見送った。


想いに応える事が出来ずに申し訳なかったが、素敵な人だと思う。でも私がこんな事を云われたいのは、この人じゃなく、あの人からだ・・・私から求めるのは当たり前で、あの人も求めてやまないそうなりたいが、こういうのは恋愛感情なのかな?

この関係ではそう願うのもいけない事なのかもしれない・・・