閻魔さんの嘆き | 本光寺住職のダラブログ

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これからのお寺は変わらなければ。「人間ダラといわれて一人前」を掲げる住職の、御門徒さんとのふれあいブログ、略して「ダラブロ」

 ある日、私が深い瞑想状態にあった時、思い掛けなく久々に友人の地獄の主宰、閻魔氏と交信を交わすことができた。

彼曰く「ご無沙汰でした、多田(私の名)さん。地獄もこの先、従来と違い随分と様変わりしそうです。ちょっと、口説き話になりますがね、この頃の人間婆婆世界の様子をこちらから伺ってると、ひどいことになってるね。老若男女を問わず、悪い事をする人が矢鱈増えて、刑務所は入所者が過剰気味で部屋が足らない位だとか。そちらが深刻ならこちらも同じで、このままでは地獄に堕ちる人が多くなり過ぎて困った問題が生じてしまいます。

まず、第一の問題は世には余り知られていませんが、地獄は実のところ定員制なので、受け入れに支障をきたします。次に、今までは地獄に堕ちて来る人は、見るからに悪人といえるようなつら構えの人ばかりでした。ところが、これからはこの傾向が変わり、多様化しつつあるようです。

省庁官僚や医師、宗教家、教育者、政治家等立派な学歴もあり、職業は一般に憧られるような職業に就き、社会的に高い地位と名誉を持った人ばかりが増えてきて、私たちはこれからその対応に頭を痛めているのです。

私たちは毎日のようにその事態を想定した対策会議を開き、そしてその対応マニュアルを作成し、トレーニングを繰り返しています。しかし、相手の方がずっと上手のようで、口でも頭ででも負けてしまいそうです。これでは彼らに地獄が支配されて仕舞いそうです。彼らは狡猾であり、然も悪の意識がないようです。とてもやりにくいです。これでは私の地位も危ないです」と、泣き言をいう始末です。

地獄も大変なんだね」と言うと、「いや、ごめん、君には情けないところを見せてしまったね。元々地獄という所は、罪を償わせる場でもなく、また更正させる場でもないいんだ。そうそう私の仕事は、その人の生前の姿をそのままここで厭というほど、本人に思い知らせることだったんだね」

住職の口癖  
受け売りに、響きなし。
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