久々にサイン会をした。

音楽活動やら、トークショーやらで
人前に出ることにはもうすっかり慣れているんだけれど
サイン会というものは独特のものなので
非常に緊張した。

でも、やはりサイン会はいい。

実は、余りにお金がないので
(新刊は出したものの、これは3年前にでるはずのものだったので
もう3年前に印税は貰ってあって、今回、印税は入ってこない)
来月、再来月の生活費の捻出や支払いをどうしようと
朝から晩まで考え、不安にさいなまれていたら
鬱病のような状態になってしまい
もう、失踪してしまおうかと考えていたのだけれど

発表のメドはたっていないものの、作家として書かなければならないものは
書いた、もうこれで思い残すことはないとも思ったし

泣きながら、震えながら、野ばらさんがいるから生きていけるんです
などとファンの人にいわれると
やっぱり自分の都合で失踪してしまう訳にはいかないのだなと
思い直すしかなかった。

役所に生活保護が受けられないか相談にもいったけれども
家賃、10万円の部屋にすんでいるのは贅沢だし
借金で困っているのは生活苦とはいえないので駄目だというし
アルバイトの面接にも行ったけれど僕に出来る仕事は
まるでみつからない。

だけど、結局、書くしかない。
書く以外、僕に出来ることはない。
求めてくれる読者がいる限り
どんなに生活が困難でも、書くしかない。

夏になれば、大口の借金がほぼ返済出来る予定なので
6月予定の新刊の印税も入ってくる予定なので
それまでは、石に齧り付いても生き延びようと思う。

そうすれば何とかなる。

予定ではもう、財政難は乗り越えられている筈だったのだ。
僕等の仕事は、この季節、確定申告すれば還付金というものが
戻ってくる。
それで、借金も返し、生活も立て直すつもりだったのだ。

でもその還付金を、税金を滞納しているからといって
渋谷区に全額差し押さえられてしまった。
今、生活が逼迫してるから何とか待って貰えないかと
相談する機会も与えられず、税金を払うのは国民の義務
ですといって、問答無用で差し押さえられてしまった。

国はヤクザよりも無慈悲だ。

書こう。
僕は決して不幸でも不運でもない。
書けば読んでくれる読者がいる。
新しい作品を待ってくれている読者がいる。
この状況を乗り越えなければならない理由は、それだけで充分だ。

借金を返済し、仕事もまた順調にいき始めたら
ちゃんと貯金をしようと思う。
作家なんて無頼なものだから、安定の為に貯金をするなんて
してはならぬものだとずっと若気の至りで突っ張っていたけれども
考えを改めた。

貯金は大事。貯金は大事です。