我が家の前の通りは、駅やスーパーや学校に向かう人がたくさん通る。いつも同じ時間に仕事に向かう人もいる。しばらく見ないと、どうしたのかな、最近見ないななんて思ったりもする。
そんな我が家の前の通りを、自転車で行き来する、60代と思しき男性がいる。早朝だったり昼間だったり。2,30分もしないうちにまた帰ってくる、そしてまた午後に行ったり。あれまたどこか行くのかな。
緻密に観察しているわけではないが、一方的な顔見知りだ。なぜ記憶に残るかというと、いつも服装が清潔でこざっぱりしているからかもしれない。夏なら遠目にも洗濯してあるTシャツにコットンパンツ、白いスニーカー。
今朝は寒かったのでダウンジャケットを着ていた、足元は洗い立てのように白いスニーカーだった。我が家の手前にある自販機で何か買っていた。
そういう姿を見て、私は奥さんがいて、きちんと着るものに気を配っているのだろうと思う。ご本人はおそらくデスクワークではない仕事をしていた風だ。でもくたびれたジャンパーなどは着ていない。
そして、行ったり来たりする。
そこから、私は勝手に想像する。
おそらくあまり遠くないところに、男性の親が一人住まいをしていて、日に何度か様子を見に行っている、食事の世話とか、体を拭くとか、そこら辺を片付けるとか、部屋の空気を入れ替えるとか……。
やるべきことはいくらでもある。
勝手に孝行息子だなと思っている。
私の人を見る目、けっこう正確なんですよ。
 
庭の水仙は風に弱いので、倒れそうになると摘んでくる。