36年前、息子が生まれたときに、


    夫の実家から送られた「かぶと」



    肝心の息子は、高校卒業後、一年の浪人を経て、


    関西の大学に入ったので、家を出た。


    四年後、社会人となって、また一緒に住んだが、



何か月かで資金をため、都内にアパートを借りて出ていった。


そのころは、この地の子供時代お世話になったサッカーチームに週末ごとに参加したので、


週末には帰ってきて、洗濯物を残して自分のねぐらに帰るという生活だった。


三年後に退社し、アパートを引き払った後の洗濯機や冷蔵庫を我が家において、


アメリカへ研修に行った。


ちょうど9.11の後だったので、ヴィザが下りるのに


時間がかかった。
          
3か月で帰ってきて、しばらくは我が家にいて、就活。


就職し、今度は隣の市に引っ越していった。


その後、転職もして、今は独立している。


大胆に言うと、代表取締役だ。




  夫の両親にとってはただ一人の男の孫。


  健やかな成長を願って、この兜を選んでくれただろう。


  確かに健やかに成長したけれど。





  「仕事が順調にいきますように」


  母のわたしは、今はそればかり願っている。