夫の実家から送られた「かぶと」
肝心の息子は、高校卒業後、一年の浪人を経て、
関西の大学に入ったので、家を出た。
四年後、社会人となって、また一緒に住んだが、
何か月かで資金をため、都内にアパートを借りて出ていった。
そのころは、この地の子供時代お世話になったサッカーチームに週末ごとに参加したので、
週末には帰ってきて、洗濯物を残して自分のねぐらに帰るという生活だった。
三年後に退社し、アパートを引き払った後の洗濯機や冷蔵庫を我が家において、
アメリカへ研修に行った。
時間がかかった。
3か月で帰ってきて、しばらくは我が家にいて、就活。
就職し、今度は隣の市に引っ越していった。
その後、転職もして、今は独立している。
大胆に言うと、代表取締役だ。
夫の両親にとってはただ一人の男の孫。
健やかな成長を願って、この兜を選んでくれただろう。
確かに健やかに成長したけれど。
「仕事が順調にいきますように」
母のわたしは、今はそればかり願っている。


