夏になると、毎年憂鬱な気分になる。
奈良の実家に、93歳の老母がいるので放っておけないのだ。
帰省は、本当ならもっと回数を増やさねばならないところだが、
小学生の孫がいるという確固たる理由で、年に1度となる。
孫には父親が九州にいて、夏休みにはそちらへ行くことになっているのだ。
と言っても夏休み中というわけではなく、大体一週間。
それも今年は孫の林間学校の日程の都合で、6日~11日となった。
この間、自宅でゆっくり静かに過ごしたい、強くそう思う。
が、この間を利用しないと、帰省は難しい。それで、新幹線に乗って行くことに。
実家に帰っても、もちろんゆっくりするわけではない。
母親の溜まった愚痴を聞き、汚いところを掃除し、大きなカーテンを洗い、
買い物には徒歩で、炎天下を行き、重いものも手に持ち……。
去年の今頃は兄や姉と、母を施設にと話したりした。
でも、母は動かない。自宅にいて、好きな時間に起きて、好きなテレビを観て、
好きな時間に寝て、という生活を変えたくないのだ。
施設になど行ったら、何もすることなくて、すぐにボケてしまうと言いきる。
自分で食べるものの管理もできるし、洗濯もするしと、
できることを数え上げるが、実際は出来ないことが多いのだ。
買い物、掃除は、宅配弁当等を利用する以外は、兄嫁の負担になっている。
兄嫁は65歳。去年から車の運転も止めている。
実家の隣に兄と住んでいるが、周辺は坂道だらけの住宅地で、
店が次々に撤退して、いわゆる買い物難民状態。
配達を頼めるものは頼んでいるらしいが、自分たちの分だけでも大変そう。
ああ、しっかり者の母の、去年も一昨年も聞いた愚痴をまた聞くのか、
あの坂道を炎天下買い物に歩くのか、それを思うと、憂鬱になる。
自分の家で、静かに、のんびりと盛夏の数日を過ごしたい(長嘆息)