八っつぁん:

「熊さん、オレ、最近“人に頼るのが下手だ”って言われたよ。」

熊さん:

「ほぉ、それは“頼られやすい人”ってことじゃねぇのか?」

八っつぁん:

「いや、困っててもつい『大丈夫』って言っちまうんだ。」

熊さん:

「あぁ、“大丈夫病”な。世の中、患者だらけだ。」


■ 頼れない人は、優しすぎる人

人に頼れない人って、たいてい“他人を困らせたくない”人。

自分のことより、人の気持ちを先に考えてしまう。

だからこそ、頼るよりも「我慢」を選んでしまう。


でもな八っつぁん、

熊さん:「橋は渡るためにあるんだ。見てるだけじゃ、向こう岸に行けねぇ。」


誰かに頼るってのは、“弱さ”じゃなく、“信じる力”のことなんだ。

■ 八っつぁん、ひとりで全部抱える

八っつぁん:

「でもな、熊さん。人に迷惑かけたくないんだよ。」

熊さん:

「お前、“迷惑”と“おすそわけ”の違い知ってるか?」

八っつぁん:

「え?」

熊さん:

「お前が弱さを見せることで、『自分もそうなんだ』って救われる奴がいるんだよ。

だからそれは“迷惑”やのうて、“おすそわけ”や。」


■ 阿弥陀さまの本願は「頼る道」

親鸞聖人は、「信心とは他力をたのむことなり」と仰った。

“他力”とは、つまり「如来をたのむ」ということ。

自分でどうにもならない私が、

「もう仏さまにまかせるしかない」と手を合わせたとき、

初めて心がほどけていく。


自分で背負い続けていた荷物を、

「ちょっと持ってもらえませんか」と差し出す。

それが、信心のはじまり。

仏さまは、私たちの“頼れなさ”すら抱きしめてくださる。

■ 熊さんのしめくくり

熊さん:

「八っつぁん、頼るってのは“肩を貸すこと”と“肩を借りること”の間で、人が人になるってことなんだ。」

八っつぁん:

「肩を借りるのも勇気か……。」

熊さん:

「そうさ。水は高いところから低いところに流れる。でも、いちばん低いとこで全部受け止めてくれるのが“南無阿弥陀仏”なんだよ。」


■ 今夜のひとこと

「頼れない自分」を責めるなかれ。

 それでも支えようとしてくれて

 いる光がある。


阿弥陀さまは、「助けを呼べ」とは言わない。

ただ、「呼べなくても、もう包んでいる」と言われている。

だから、泣きながらでも立っていられる。

ひとりで抱えてきたあなたの背中にも、

もう光は届いている。

🌙 今夜は、誰かに頼れなくても大丈夫。

仏さまが、あなたの沈黙ごと引き受けてくださっている。

そのぬくもりに、少し身をゆだねてください。