今回の記事は、こちらの記事の内容とも「関連性」があることから、その「リブログ」としています(「元の記事」もぜひ、ご覧ください)
1964年12月26日、テレビ出演の映像です(同日の、「他の曲」の演奏映像も各種あります)。
ブラッサンスのすぐ隣りは、友人で「作家」の、ジャン=ピエール・シャブロル(1925-2001)です。
こちらが、「オリジナル録音」です(1964年10~11月録音/同年11月発売)。
ブラッサンスの、数少ない、大変「貴重」な「日本盤CD」です。
もうかなり「古い」商品で、「入手」出来るかどうかは「運次第」ですが、「歌詞対訳」、「日本語解説」は大変「貴重」です(「今回の曲」は、「第2集」に収録されています)。
こちらは、いわゆる「文庫版」の全集ですが、「オリジナル・ジャケット」を「再現」したスリーヴが、大変「貴重」です。
こちらは、「歌詞集」となります(書籍)。
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さて...
「10月22日」は、「フランスシャンソン界の3大巨匠のひとり」、ジョルジュ・ブラッサンス(1921-81)の「誕生日」、そして「命日」も、ちょうどその「1週間後」という「10月29日」で、この時期は、まさに「ブラッサンス・ウィーク」とも言えるのですが、今年も、それに合わせて、やはり「名曲」を紹介してみたいと思います。
今回紹介する曲、「le grand Pan "神々の時代"」(1964)は、すでにこれまでも、何度か、記事中にも載せている曲ですが、ここで、「正式に紹介」しておきたいと思います。
そしてこちらも、何度か書いていることですが、ブラッサンスは、特に、「詞」を重んじるアーティストとして認識されており、時には「数年」も、「推敲に時間をかける」とすら言われていますが、その一方で、ブラッサンス自身は、「歌として、親しみやすいメロディを」という考えも持っていたようです。
1967年には、「アカデミー・フランセーズ」という「お役所」より、「詩部門」で「大賞」を授与されたことから、(「皮肉」にも、)「(国民的)大詩人」として、「国」からも認められることになったブラッサンスですが、「詩人」としての風格も高まり、より「長大」で、「哲学的」な作品が大半を占めるようになりながらも、「耳なじみが良い」と思われるのは、やはり「歌」として、「メロディを重視」していたからでもあるでしょう。
(ブラッサンスは同様に、「深刻になり過ぎてはいけない。"歌" なのだから...」とも、話していました...)
今回の曲、「le grand Pan "神々の時代"」を収録しているアルバム、(通称)「les copains d'abord "仲間を先に(パリジャン気質)"」(1964)から、あらためて、いくつか曲を拾ってみましょう...。
「les copains d'abord "仲間を先に(パリジャン気質)"」。
翌1965年公開の映画、「仲間たち」(イヴ・ロベール監督)の、「主題歌」ともなりました。
この年のアルバムを、「代表」する名作です。
(1972年1月19日、テレビでも放送された、ボビノ劇場でのライヴからの映像です)
「le 22 septembre "9月22日"」。
「忘れられない日付け」...
必ずしも、「幸せだった日」だけとは限りません...。
この曲についての記事(「歌詞対訳」も載せています)
(初掲載)「le mouton de panurge "浮気な小娘(パニュルジュの羊)"」。
「付和雷同の徒」(自分にしっかりとした考えがなく、むやみに他人に同調する人)が、このタイトルの意味で、ただ「流行」しているからと、恋に身をゆだねることへの「警鐘」でもある曲です。
「Saturne "時の神サトゥルヌス"」。
「土星」の「語源」ともなっている「サトゥルヌス」は、ローマ神話における「農耕の神」ですが、ギリシャ神話の「クロノス」と同様に、「時の神」とも呼ばれることがあります。
(この映像は、「1970年代」のものです)
続いて、今回の曲、「le grand Pan "神々の時代"」の「カバー」も載せておきましょう。
ブラッサンスを慕うアーティストとしても有名な、マキシム(・ル・フォレスティエ)(1949-)は、自身のライヴでも、「オール・ブラッサンス・プログラム」を組むほどですが、今回の曲、「le grand Pan "神々の時代"」は、1998年に発表されたライヴアルバムに収録されています。
また、ブラッサンス本人と、「共演」(「コーラス」で参加)している映像もあります...。
「le roi (des cons) "王様"」(1972)。
(現在、「歌詞」を載せると「問題」にもなりそうですが、「フォークソングの時代」ならではと言える曲でもありますよね。また、マキシムと同様、「コーラス」には、ジョルジュ・ムスタキらの姿も見えます)
ちょっと「ハイテンション」で、「独創的」ながら、今回、「とても印象に残る(共感できる)」と感じたカバーがこちら。
イヴ・ユジュロー(1952-)、2018年のトリビュートライヴ、「Brassens, le copain d'abord, en public」より。
(このライヴは、「DVD(PAL)」で発売されてもいます。詳しくは、以下の「公式サイト」にて)
イヴ・ユジュロー公式サイト(フランス語)
それでは以下に、今回の曲、「le grand Pan "神々の時代"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。
「神話」をテーマとした作品は、ブラッサンスが「最も得意」としていたジャンルとも受け取れますが、今回の曲も、ギリシャ神話の牧神「パーン」をテーマに、「神話の時代」と「現在」とを、「対比」させて歌われているものです。
また、ブラッサンスの詞は、大詩人アポリネール(1880-1918)の影響を受けているとも言われ、「詩法」も、「(フランスで)最も拡張高い」とされる、「アレクサンドラン」(一行の「音節(シラブル)」の数が「12」)の形で書かれています。
やはり「文語調の詞(詩)」であり、「古い言葉や表現」も数多く見られるため、「正確な訳出」はかなり「難しい」のですが、上掲の「日本盤CD」や、ネット上での「語句解説」を参考に、自分なりに訳してみました。
最後に、やはり1960年代中ごろと見られる映像で、ブラッサンス自身が「熱狂した」という、「憧れの人」でもある「伝説の大歌手」、シャルル・トレネ(1913-2001)との、大変「貴重」な「2ショット映像」がありますので、こちらもどうぞ。
(やっぱり「緊張」してるなあ...。「当たり前」か...)
ありがとうございました。
それではまた...。
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le grand Pan 神々の時代
du temps que regnait le grand Pan
les dieux protegeaient les ivrognes:
un tas de geni's titubant
au nez rouge, a la rouge trogne
des qu'un homm' vidait les cruchons
qu'un sac a vin faisait carousse
ils venaient en bande, a ses trousses
compter les bouchons
la plus humble piquette etait alors benie
distille' par Noe, Silene et compagnie
le vin donnait un lustre au pire des minus
et le moindre pochard avait tout de Bacchus
mais, se touchant le crane en criant : j'ai trouve
la bande au professeur Nimbus est arrive'
qui s'est mise a frapper les cieux d'alignement
chasser les dieux du firmament
aujourd'hui, ca et la, les gens boivent encor'
et le feu du nectar fait toujours luir' les trognes
mais les dieux ne repondent plus pour les ivrognes:
Bacchus est alcoolique et le grand Pan est mort
偉大なるパーンが支配していた時代
神々は、酔っぱらいたちを保護していた
大勢の天才たちが千鳥足で
赤ら顔の鼻を赤くして
ひとりの男が酒つぼを空にすれば
大酒飲みは
群れをなしてやって来て
開けた栓を数えていた
中でも一番の安ワインは、当時、祝別されていて
ノアとシレノス、そして、その仲間たちによって作られていた
そのワインは、最低な人間にも輝きを与え
どんな酔っぱらいであろうと、酒神バッカスのすべてを持っていた
ところが、困ったことに、「われ、発見せり!!」と叫びながら
「ニンバス学派(「詐欺師まがい」)」の学者どもがやって来て
空を叩き始めて
天空から、神々を追い払ってしまった
今日でも、あちらこちらで人々は酒を飲み
神酒の炎は、酔っぱらいたちの顔を輝かせる
でも神々はもう、酔っぱらいたちには答えない
バッカスはアル中で、偉大なるパーンは死んだ
quand deux imbeciles heureux
s'amusaient a des bagatelles
un tas de geni's amoureux
venaient leur tenir a chandelle
du fin fond des Champs-Elysees
des qu'ils entendaient un "je t'aime"
ils accouraient a l'instant meme
compter les baisers
la plus humble amourette etait alors benie
sacre' par Aphrodite, Eros et compagnie
l'amour donnait un lustre au pire des minus
et la moindre amoureuse avait tout de Venus
mais, se touchant le crane en criant: j'ai trouve
la bande au professeur Nimbus est arrive'
qui s'est mise a frapper les cieux d'alignement
chasser les dieux du firmament
aujourd'hui, ca et la, les coeurs battent encor'
et la regle du jeu de l'amour est la meme
mais les dieux ne repondent plus de ceux qui s'aiment:
Venus s'est faite femme et le grand Pan est mort
おバカで幸せな二人が
くだらない話をして楽しんでいたとき
大勢の恋愛の天才たちは
シャンゼリゼの奥深くで
二人の仲を取り持とうとやって来た
「ジュ・テーム」の言葉を聴きつけると
そのとたんに
キスの数を数えに駆けつける
中でも一番目立たない恋はそのとき
アフロディテやエロス、そして、その仲間たちによって祝福されていた
恋は、最低な人間にも輝きを与え
どんな恋する女であろうと、愛と美の女神ヴィーナスのすべてを持っていた
ところが、困ったことに、「われ、発見せり!!」と叫びながら
「ニンバス学派(「詐欺師まがい」)」の学者どもがやって来て
空を叩き始めて
天空から、神々を追い払ってしまった
今日でも、あちらこちらで人々は胸を高鳴らすが
恋愛ゲームの法則は変わらない
でも神々はもう、愛し合う者たちに答えはしない
ヴィーナスは女となり、偉大なるパーンは死んだ
et quand, fatale, sonnait l'heur'
de prendre un linceul pour costume
un tas de geni's, l'oeil en pleur
vous offraient les honneurs posthumes
pour aller au celeste empire
dans leur barque ils venaient vous prendre
c'etait presque un plaisir de rendre
le dernier soupir
la plus humble depouille etait alors benie
embarque' par Caron, Pluton et compagnie
au pire des minus l'ame etait accorde'
et le moindre mortel avait l'eternite
mais, se touchant le crane en criant: j'ai trouve
la bande au professeur Nimbus est arrive'
qui s'est mise a frapper les cieux d'alignement
chasser les dieux du firmament
aujourd'hui, ca et la, les gens passent encor'
mais la tombe est, helas! la derniere demeure
et les dieux ne repondent plus de ceux qui meurent:
la mort est naturelle et le grand Pan est mort
そして運命が時を告げ
死出の衣をまとうとき
大勢の天才たちは目に涙を浮かべ
あなた方に死後の名誉を捧げたものだ
天上の神の国へ行けるように
彼らの小舟に、あなた方を乗せようとやって来た
それは、最期の息を
吐く楽しみにも似て
中でも一番目立たない骸はそのとき
カロンやプルート、そして、その仲間たちの手で小舟に乗せられ、祝福されていた
最低の人間であろうと、魂の調和は取れていて
どんな奴であろうと、「永遠」というものを持っていた
ところが、困ったことに、「われ、発見せり!!」と叫びながら
「ニンバス学派(「詐欺師まがい」)」の学者どもがやって来て
空を叩き始めて
天空から、神々を追い払ってしまった
今日でも、あちらこちらを人は行き来するけど
悲しきかな! 墓こそが、最後に行き着くところ
神々はもう、死んだ者たちに答えはしない
死とは自然なもので、偉大なるパーンは死んだ
et l'un des derniers dieux, l'un des derniers supremes
ne doit plus se sentir tellement bien lui-meme
un beau jour on va voir le Christ
descendre du Calvaire en disant dans sa lippe:
"merde! je ne jou' plus pour tous ces pauvres types!
j'ai bien peur que la fin du monde soit bien triste"
神々の最後のひとり、至高の最後のひとりでさえ
自分をもう、神だと思うこともない
ある日、キリストが
こう言いながら、ゴルゴタの丘を降りて来るのを、人々は目にすることだろう
「くそっ!! 私はもう、哀れな連中のためには働かないぞ
この世の終わりが、とても悲しくなるのは怖いけど...」
(daniel-b=フランス専門)




