あれはアメリカ留学1年目の夏のある日・・・
学校は夏休みに入り、ヒマな一日、10時くらいに食堂でくつろいでいたとき、日本人学生の元阪神の名選手と同じ名前のた~くんが、
「だんさんさん、これから引越しのバイトあるんですけど行きませんか?なんかすぐ終わるみたいなんですけど・・・・ぼくらはアシがないんで持ってるだんさんさんが行ってくれるといいんですけど・・」
と言ってきました
まぁ ヒマだし、力仕事は得意じゃないけどあっという間に終わるんなら問題ないか・・・
ということでこの仕事の雇い主(ボス)こと黒人クレッグ(あ こいつも阪神の抑え投手と同じ苗字だ)と3人でマイカーに乗り込み、現場へと向かいました
途中、何でもレンタル屋さんでピアノを運ぶ台車を借り、高速に乗ってマンハッタン方面へ走ること約30分、
そこに後のトラブルの「前兆」が・・・
マイカーのバッテリーランプが点灯
実はわたくしの、現地で韓国人先輩に「この車は修理できる人じゃないと乗れないから・・」といわれてタダでもらったもの
最初に見せてもらったとき、エンジンの調子も足回りも完璧って言うぐらいよかったので、譲り受けたものの・・・
電気系統に難ありということに譲ってもらってから気づいた・・・orz
・・・でもこの時にはすでにバッテリー、オルタネーターも新品に交換済み、もう問題は何もないと思ってた・・・
高速上でトラブるのはいやなので、とりあえず高速を降り、下道で南下を続け、ようやくたどりついた見知らぬ町のレンタカー屋さんで一つ目の事件は起こる・・・
事件その1
予約していたはずのトラックがない
そんなばかな・・・と思いながらも(これが当たり前に起こりうることだと知ったのはもうしばらく後の話)
レンタカー屋さん巡りをさせられ、ようやくレンタトラックを借りれたのがなんと
夕方4時
そこから引越しの依頼者宅にそのトラックを走らせ(当然のことながらわたくしが運転)約15分くらいで目的地オシニングという街に到着
そこから家探しやら着いてから打ち合わせやら何やらで作業が始まったのが
6時
いやいや普通の人そこから引越しなんてしねぇって
しかも荷物多いし・・・・
しかもよく話し聞いたらほんとは今日中に引越し先に行きたかったって・・・
(引越し元オシニング→引越し先ブリッジポート : 約1時間半)
・・・・何がすぐ終わるだ
まぁそんな文句はさておき、黙々と作業を進めていくうちにクレッグというやつが使えねぇやつのくせにボス気取りばっかりするはっきりいって迷惑極まりないやつだということがわかってきた
そんなこんなで夜中1時ころついに事件は起こる
事件その2
口げんか
わたくしとた~くんの二人でリビングのソファーを運ぼうとした際、依頼主である親父さんが
「あ~ そのソファーもういらないからゴミのほうに運んどいて」(もちろんですが英語です)
二人「了解ですぅ」(くどいようですが英語です)
んで運びおわったそのときクレッグが怒鳴り散らしてこっちにくる
「誰の許可でソファーをゴミのほうに運んだ」
た~くん「依頼者」
(以下無限ループ)
「おれがお前らのボスだ お前らは俺の命令だけ聞いてろ」
た~くん「あんたに断らなかったのは悪いと思うけど、あんたあの場にいなかったし、もめてないで早く終わらそうよ」
「いいや お前らが理解するまで始めねぇ」
た~くん「いや、近所迷惑だし、もうわかったから早くやろう」
「いいや お前らわかってねぇ」
わたくしは途中でブチギれ「もう金もいらねぇし、こんなやつの顔見るのももうごめんだ」と言ってたのですが、
人のいいた~くんはなんとか今日一日を無駄にしないよう懸命に説得してたわけでして・・・
ところが2時をまわったころ、た~くんが
「だんさんさん、申し訳ないですけど・・・もう仕事放棄していいっすか? もうダメだ」
もうぜんっぜんいいっすよ
依頼者の人にわけを話し、ほんっとに申し訳ない気持ちでいっぱいだったので何べんも謝り、依頼者の親父さんも「残念だけど契約のもつれならしょうがないね・・・」と理解してくれた上に、自分が働いてた会社まで送るからそこで朝が来るまでいて、それから駅まで歩いて帰りなさい・・・と言ってで送ってくれました
そしてわたくしとた~くんの長すぎた1日目は野宿という形で過ぎていったのでした
つづく