美月星夜の香水物語~第47夜・星に願いを、香りに夢を | 熱帯性恋気圧 by 美月星夜 aka ケンケン

美月星夜の香水物語~第47夜・星に願いを、香りに夢を




久々の更新になります。
今日は七夕なので、ちょっと特別な気分。
仕事も休みだったこともあり、のんびりと過ごすことができました。

去年の七夕は、偶然にも予約していた万年筆、マーレ・アドリアが入荷したという連絡をいただき、丸善日本橋店に引き取りにうかがいました。(その時のブログ記事はこちら

あれからもう一年がたつんですね。
マーレ・アドリアは大切に、大切に使っております。
今朝、最近日本国内でも発売されるようになったペリカンエーデルシュタインの2016年限定色であるアクアマリンを入れました。これがまた、すこぶる素晴らしいのであります。
これだったら、万年筆もインクも涼しげで、夏の暑さを気分だけでもしのげるような気がします。







さて、せっかくだから、今年も何か思い出に残るものが欲しいなと思い、
でも同じ万年筆というのはつまらないので、今年は香水を選ぶことにしました。

ぼくは香水を買う時、必ず何かしら理由をつけるようにしています。
100本以上持っていると、代替え品があるものだから、「ま、新しい香りなんてなくても手持ちの香りで何とかなるか」っていう気になってしまいがちなので。
(だからといって、新しい香水を買うためにわざわざ理由付けするっていうのも本末転倒な気もしますが…汗)

そして、その理由というのは実に様々です。
旅行に行くので、その旅行に似合った香り。
気になる男を振り向かせる香り。
秋冬を落ち着いて過ごす香り。
仕事に行く時に香らせたい香水。
家で落ち着いて執筆するための香り。
などなど。

その理由の種類も、自分の内に向けたものもあれば、他者との関わりの中で香らせたいというのものなど、多種多様。

さて、今日のぼくのテーマはズバリ。

「夏を快適に過ごすための香り」です。

昨年日本に初上陸をしたアルゼンチン発の香水ブランド、フェギア1833lで初めて購入した香水は「ビブリオテッカ・デ・バベル」という香水。
前にもご紹介しましたが、この香水はぼくにとってはとても思い出深い香水になりました。
恐らく2015年に購入した香水の中でマイベスト3に入る香りなのではないかっていうくらい気に入りました。
しかし、最近ちょっと違う感じがするのです。
もちろん、良い香りは良い香りなんだけど、昨年の秋から冬にかけてふんだんに使ったために、今の時期につけると、しっくりとこない。ぼくにとってはこの香りは秋冬のイメージが定着してしまったみたい。

その他にも、ぼくはいろいろな香水を持っているけれども、どうせだったら、こう、新しい香水で夏を彩りたいっていう気持ちになったんです。

そこで、やはり同じフェギア1833で選ぼう!ということになり、今日お店にうかがったのでした。

今までにもぼくはこのブランドの香水はいろいろと試しているし、実際にすでに9本も持っているのですが、まだ何か夏につけたくなるような香りはあるに違いないっていう気がした。

たとえば、すでに持っている香水だと「Malena」というのがあるのですが、これは非常にグリーンの強い香り。
ぼくはどちらかというと苦手な香りで自分では選ばないのですが、お店の人にすすめられて購入したら、すっかりとりこに。特に夏のもわっとした空気に触れるとみずみずしさが増し、気分があがります。
ラルチザンのファンだと、幻となってしまった「フルールドリアン」や「プルミエフィグエ」を連想するかもしれません。そのぐらいグリーンで濃厚な香りです。(でも、フレッシュなので、べたつかないところがまたすごいのですが)

その「Malena」は雨の日につけることが多いのですが、今日みたいなかんかん照りの日には自分には合わない気がしました。

今日はぃままで何度もお店に通って試していた香りがあり、その中からいくつかの候補に絞って、そのうちのどれかを買うつもりでお店に行きました。

ぼくのことを良くしっているスタッフと一緒に、ああでもない、こうでもないと言いながら香りを探すのはとても楽しい。

で、3本の候補のうちの1本にほぼ決定しかけた時、ぼくはずーーーーっと気になっていたある香りを試してみました。その香りはオープンの時からぼくの鼻腔を静かに、でも深く刺激していた香りでした。
ウッディで、スモーキーで、ちょっとアニマリックで、レザーの香りもする、非常に個性的な香りです。
好き嫌いははっきり別れるでしょうか。

でも、イメージとしては寒い冬にまといたい感じがしました。
たとえば2月の雪の降る日にこの香りをまとったら、きっと幸せな気持ちになれるんじゃないか、そんな気がしたのです。

だから、ぼくは寒くなるのを待ってから買うつもりでいました。
ところが、2016年の冬って、意外にも暖冬だったんですよね。
雪もあまり降らなかったし。
ぼくはそういうことに変なこだわりがあり過ぎて、ついに買いそびれたまんまになっていたのです。

実は先週も別の目的でフェギア1833のお店に行き、他の香水を購入したのですが(その香水については後述します。)、その時もぼくが冬に買おうと思っていた香りを良いなと思いながらも、今度の冬までお預けね!って思っていました。

ところがです!
今日改めて試してみたら、やっぱり良いのです。
本当に素晴らしい香りなのです。

そんなことを思ったら、急に呪縛が解けました。
寒い冬の日に買わなくちゃいけない、という呪縛から解放されたのです!
夏の暑い時期でもこの香水はきっと素敵に香るに違いない。
そんな気がしました。

実際に肌に載せてみると、これがまた本当に美しい。
しっとりと汗ばんだはだに静かに馴染む感じ。
冬のあたたかみとはまた違ったあたたかみを感じます。

そう感じたら、もう、今日買うのはこれしかない!っていう気になったのです。

というわけで、改めてご紹介しましょう。

本日購入した香りはこちらです!










フェギア1833 FEGUIA1833
マラブリゴ Malablrigo
香調・Musk

パンフレットには次のような説明が記載されています。

ビクーナの毛皮の温かさと
冷える冬の空気のコントラスト。
温かみと透明感を感じさせる、
カシュメランの香りで表現して。


ぼくがこの香りは冬の寒さを思わせると感じたのは、こういう説明を聞いたり読んだりしたからなのかもしれませんが、でも、やっぱり冬の香りという印象は今でも持っています。

ただ、じゃあ、夏の暑さに似合わないか、というと、そういうわけではないんですね。
あくまでもそれは香りの第一印象であって、夏が似合わないわけではない。
むしろ、敢えて夏につけることの意義をみつけられるかどうか。
だと思いました。





なんか、似たような写真ばかりでごめんなさい。
香水瓶がとてもシンプルで、しかも手書きのラベルなので、ついついいろいろと撮りたくなるんです(笑)。

香りを言葉で表現するのはとても難しいといつも思いながら、
せめて写真だけでもそのイメージを伝えられたら…と試行錯誤しているのですが。

ともあれ、このマラブリゴはぼくにとっては冬が最適だけど、夏も悪くない香り。
いや、むしろ、冬に似合う香りだからこそ、意外性を求めて夏にまといたい香り。となりました。

第一印象はとにかくスモーキー。
何かを燻したような香りがします。
だから、ウッディーと感じる人も多いでしょう。
冬の寒さの中でこれをまとったら、より温かみを感じるかもしれません。
それこそ、たき火に当たっているような(最近の若い人にはなかなか理解できないかもしれませんが)。


でも夏のこの暑い時期に肌に載せると、
それに甘さが加わるのです。
ほんのりとした甘さ。
その甘さというのは、バニラとか、砂糖菓子とか、そういうベタッとした甘さではありません。
もっと乾いた感じ。
遠くで綿菓子を作っているような。
子どもの頃、しばしば訪れた夏祭りの会場からほのかに漂うなんともいえない甘い香りというか。
とにかく、かすかに遠くで漂っているのを感じる甘さがあるのです。

さらに、もう一つ。
ぼくが感じたのは、日焼けした男の子の肌の香り。
日向の香り。
くんくんと思わず鼻をくっつけて感じたくなるような香りです。

そして極めつけの香りの印象は、タルカムパウダー。
タルカムパウダーそのものの香りという意味ではありません。
なんて言うんだろう。

汗ばんだ肌にこのマラブリゴを載せると、
乾いた香りがその湿気を吸い取ってくれるような感覚。
とでもいいましょうか。
そういうイメージなんです。

でも、今日この香りに決めたのは、
先日購入した香りの影響も少しあるのかもしれません。

その香りというのが、フェギア1833の今年の新作香水のうちの1本であるこちらの香り。


フェギア1833 FEGUIA1833
アンバー・デ・ロス・アンデス Amberl Des Los Andes
香調・Woody,Aquatic

この香りは、ウード、サンダルウッド、そしてアクアティックジャスミンという3つの香りがメインとなります。
その3つの香り、いかにもぼくが好きそうでしょ?(笑)

ウードやサンダルウッドは、まさにぼく好みなのですが、
そこに微かにみずみずしいジャスミンのほの甘い香りが加わります。
それによって、香りの印象がとてもやわらかくなる。
そこがたまらく好きになり、思わず選んでしまったのです。

この時のぼくのテーマは、一人で静かに自分の部屋で自分と向き合う香り。
落ち着いた気持ちで原稿用紙に万年筆を走らせることのできる香り。


この香りはまさにそんな自分にフィットしたのです。
で、なぜこれがマラブリゴにつながるかというと、まったく違った香りなのに、
妙に共通点があるんです。

そのキーワードはまさに「冬」というもの。
どちらも冬を想起させる香りなの。
だからといって、冬にまとわなくちゃいけない、
というわけでは、(先ほども書いたように)ないけれども、
でも、根底にあるのは冬のイメージなんですよね。

だからなのか、相性がすこぶる良い。


たとえば、それこそ本格的な冬が始まったら、この香りを重ねづけするのも良いだろう。
アンバー・デ・ロス・アンデスを胸元にたっぷりとまとい、
手足などには軽くマラブリゴをふきつける。

アンバーの隠れた色気と、マラブリゴの乾いた印象が、
まとっている人をミステリアスに演出する。

そういうイメージかな。

この二つの香りはぼくにとっては密接に関わりを持つ香りとして、
記憶の奥底にインプットされるに違いない。
そんな予感がすでにあります。






2016年の七夕の日に出会えた香りは、
ちょっとした夢を見させてくれる香り。

大好きな冬の寒さに想いを馳せたり、
夏の暑さを少しでもしのいでくれたり、
うだるような暑さは確かに鬱陶しいけれども、
この香りを載せれば、
そんな暑さも少しだけ甘美なものになるのではないかという予感。



それこそ、
寝苦しい熱帯夜に、この香りをふきつけたら
良い夢を見ることができるかもしれない。
七夕の日にこの香りに出会えて本当に良かった。

先日購入したアンバー・デ・ロス・アンデスとともに、
末永く愛用したい。

マラブリゴ、去年からずーーーーっと恋い焦がれていた香りを、
まさか今日手に入れるとは思わなかったけれども、
だからこそ、ぼくなりの香水物語が生まれるのではないか。
そんな気がします。


というわけで、ぼくが持っているフェギアの香水は以下の10本となりました。
もちろん、本数持っていれば良いというわけではないけれども、
自分好みのブランドができると、
ついついいろいろと試したくなるし、
安心感もあるし、期待も大きくなるから、手に入れたくもなりますよね。
これらの香りを見て、「ケンケンらしい!」って納得する香水もあれば、
「あれ?以外だな」って思う香水もあるかもしれません。

そういうこともひっくるめて香りを楽しみたいですね。
フェギア1833の素敵なところは、
どの香水にも、ちゃんとしたストーリーがあり、
それがストーリーに留まらず、
ぼくたちの想像力を刺激してくれるところだと思う。
そういうブランドが日本に上陸してすごく嬉しいし、
これからもぼくたちを素敵な、魅惑の香りの世界へ連れて行って欲しいなと
思うのであります。



なお、現在フェギア1833では、素敵なフェアを開催中です。
詳細はこちらをごらんください。

キャンドルはすでに持っているのですが、
ディフューザーとルーム&テキスタイルスプレーは持っていなかったので、
購入してしまいました!





キャンドル=ティエラ・デル・フエゴ
コールドキャンドル(ディフューザー)=ヤタイ
ルーム&テキスタイルスプレー=コンキスタ

詳しい香りについてはまた別途レポートしたいと思います。