林新 堀川恵子氏の「狼の義 新犬養木堂伝」を読んだ。

骨太で読み応えのある作品である。

木堂犬養毅「憲政の神」いや憲政の鬼である。読んでいくうちその気迫に圧倒された。

物語を犬養とともに政治の政界を歩み犬養の死まで犬養の懐刀 黒子として縦横無尽に活躍し戦後は「吉田茂の政治指南役」として死ぬまで犬養の遺志を継いだ古島一雄の昔語りで物語を始める。

 維新後、議会政治を根付かせるために、心血を注いだ井上毅、結核の病の淵にありながら新聞連載を死ぬまで続けた正岡子規。そして南洲 西郷隆盛。犬養は死を自ら求めるのではなく、氏の寸前まで生のあらんかぎりを自分が正しいと思い進むべき道だと思うことに死を賭して向合う事を使命とした。

5.15事件の時、銃弾を5発受けながら、側近に「今、襲撃して若い奴らを呼び戻せ、話して聞かせてやる」との言葉は、犬養の首位に対する気概を示している。又、死ぬまで赤貧を貫いた古島一雄。

 この作品に描かれている気概のある人物の万分の一でも、その気を持ち合わせ人生の最後を迎えたいと切に思った。

この作品を書き上げた堀川氏に敬意を表したい。