状況なんて瞬時に変わる。
今ある状況・状態など脆いものだ。

何人かの人間が仲良く話しをしているとする。空気は温かく、和気あいあいとしたムードに溢れている。
しかしその空気やムードを変えようと思えば簡単に変わってしまうのだ。

極めて極端な例をあげると、 ある人が隣の人の顔をいきなり拳で思い切り打ち抜けば、今までの雰囲気は跡形も無く消えるだろう。
暴言を吐いても変わるだろう。
ものの1秒で変わる。
長年かけて作り上げた互いの信頼など脆いものだ。

「お金と信用を得るのに費やす時間は膨大なものだが、それらを失うのは一瞬である。」
         by 私

そういうことである。

今ある状況など綱の上を歩いているようなものであって、綱を太くしてもその上に載る状況の脆さは変わらない。
前述の通り、拳ひとつ言葉ひとつでガラリと変わるのだから。

そうであるなら注力すべきは綱を太くするというより、全てのものは瞬間的に変わり得るということを知り、その脆さをも知った上で柔軟な状況を作り上げることが大切なのではないか。

少々の揺れにも綱から落ちぬようしなやかに、例え落ちたとしても壊れない柔軟なものにする事だろう。

昔、野坂昭如氏が大島渚氏の誕生パーティー舞台上でいきなり大島氏の顔を殴るというハプニングがあった。
原因は挨拶予定だった野坂昭如氏が既に帰ったと思った大島渚氏側がスピーチを飛ばして進行した為に、長く待たされた野坂氏が腹を立てたというなんとも子供じみた要因であり、歳をとると幼児返りしてゆく見本のような諍いである。

いきなり殴られ、よろめいた大島氏も持っていたマイクで対抗、その時の野坂氏の頭を叩く音が「ゴンッ」と聞こえていたのが笑いを誘う。

正に場の雰囲気は一瞬にして変わり、2人の信頼関係は砕け、そう簡単に元には戻らないと思われたのである。

しかし、後日両者は謝罪し合い、結果 以前より深い関係性を気付けたという話だ。
この場合、2人の信頼関係は柔軟であり、一時的な亀裂を生んでもそれを直ちに修復できるだけの度量もチカラも両者にあったと言えるのかもしれない。

だからといって隣の人の顔を殴っていいわけでは勿論ないのである。

「ゴンッ」🎤


https://youtu.be/xlOm8Ot9fac