ヒトである以上、人生に於いて1度や2度顔を洗った経験があると思う。 


「何言ってんの?人生で1度や2度って。私なんか1年に3〜4回は洗ってるよ⁉︎」という御仁がいるやも知れぬ。

ここは回数のことには触れずにおくことが賢明であると瞬時に判断できるぐらい、私の危機管理能力は高い。

で、顔を洗うという行為について。

例えば温泉などで、一糸纏わぬ恥ずかしい格好を晒しながら風呂用の椅子に座り、情けなく目を瞑った石鹸の泡だらけの顔のまま、伽藍から出てくるお湯を両手のひらに約238mlほど溜め、そいつで顔を濯ぐのが一般的だと思うが、その濯ぐとき。

なんか口から得体の知れない音を立てているヒトが多くないだろうか。

「ふしゅるしゃしゃしゃしゃ」

みたいなサウンドと共に掌を上下しながら顔に擦り付けている。

ある時、温泉で泡まみれになりながら顔を洗っていると左右から「ふしゅる」が聞こえてくる。

恐らくおじさんやおとっつぁんだろう。
(私もその仲間だが、"自分のことは棚上げ週間"に入っているのでそんなことはいいんである。)

そうっと薄目を開けて確認すると思った通りだ。
女性は分からないがなんとは無しに中年以降の男性にフシュリストは多い気がする。

両側で同時にやられるとステレオ的にハーモナイズされた「ふしゅる」に包まれるが、(嗚呼、、素敵なフィルハーモニー。。)
とはならない。

その「ふしゅるしゃしゃしゃしゃ」ってなんなの?

ふしゅるしゃしゃしゃしゃ教の信者なの?

フシュリズムの実践?

黙ってできないの?

と思ふ。

そんでもって、ふしゅるしゃしゃった割に髪の生え際に残ってますよ、泡。

顔に泡を付けたまま左右を見た私はそんなことを胸中で呟き、今一度湯船に浸かる為に顔を濯いだ。

「ふしゅしゅしゅしゅしゅっ!」
🤲💦