何故だろう。
最近、左足の小指を強打してばかりだ。
凍った肉の塊(しかもカド)が小指を直撃したのが始まりである。
その重量2kg。
この時は一瞬息が止まり、しゃがみ込み「お、お、おおおお」と唸るしかなかった。
靴下を脱ぐと小指が特に腫れていることもなく、ただ痛いだけである。
暫く経つと痛みは治まってきたが、少し指をつまむだけで強い痛みを感じる。
再び見ると赤く腫れている。
何も触れなければ痛みはほぼ無いので骨折はしていないだろう。
しかし腫れているし痛みが強いのでヒビぐらいは入っているかもしれないと思ったが、取り敢えず様子を見ることにした。
数日が経ち、痛みもだいぶ弱まってきた。
しかしつまんだり、少し厚めの靴下で靴を履くと圧迫されて痛みを感じる。
そんなある日、仕事に出掛けようと忙しく身支度を整えている時、リビングにある本棚、いやチェスト?そんなことはどうでもいいのだが、そこのカドに再び左足の小指を思いっきり強打したのだ。
いわゆる「亀の子」状態になって悶絶する私。
言葉は出ず。
(ダメだ。今日は仕事行けない。だってもの凄く痛いんだもん。)
そんなことが通じるほど世の中は甘くは無い。
そのことを知っているオトナの私は出勤前だというのに、冷蔵庫から湿布を取り出すとハサミでそれを小さく切り、患部に充てがい、そいつが捲れないように慎重に靴下を穿き、何事かあったような表情で家を出た。
ま、なんとか歩けるのだから骨折はしていないだろう。
まぁ、ヒビぐらいは入っているかもしれない。
引き続き暫くは様子見だ。
その後、テーブルの脚、椅子の脚、ギタースタンド、風呂場の椅子、飼い猫、豆腐のカドと左足の小指は色々なものにぶつかり続け、その度に悶絶し続けて今日に至る。
思うに私の小指がそれらに当たるのではなく、私が移動するに伴い同じく移動する左足の小指の行く末に奴等が待ち伏せをしているのではないかと疑いを持っている。
ナニモノカがそこに、私の動線の上に置いているのではないかと。
そこで浮かんでくるのはこんな想いである。
「誰が、何の為に?」
その疑義を晴らせぬまま、様子見に飽きた私は本日、整形外科を訪れてみた。
診察後、医師はこう言った。
「折れてますね。」