それでも裕太は、態勢を戻そうと、やっきになる。
「だったら余計に、その恐竜(?)を釣り上げるなんて、
ムリだろ?」
釣り竿ごと、持っていかれるんじゃあないのか?
ジュンペイに向かって、抗議をするように言う。
「ふぅーん」
ジュンペイがクルリと、裕太の裕太の周りをまわると、
「やっぱり、そうかぁ~
おまえ、本当は恐竜のことが、怖いんだろ!」
ゲラゲラ笑いながら、ジュンペイはお茶らけた顔を、裕太に
突き出す。
「いや、怖いとか、そういう問題じゃあなくて…」
なんでジュンペイが、自分にマウントを取って来るのか
わからない。
「ちょっと、どいて」
乱暴に、裕太を押しのける。
一体ジュンペイに、何があったのだろう?
裕太はけげんな顔になる。
「それより…それって、本当に恐竜?」
裕太のひと言に、俄然ジュンペイが勢いをつけて、グィッと
最後の力を振り絞る。
ビン、ビン、ビン!
激しく釣り竿が揺れた後…
いきなりビュン!と、何か大きなものが、飛び上がってきた。
「あっ!」
まさかティラノサウルスみたいな、デッカイのが…
飛んでくるわけがないよな?
思わず身体を固くして、裕太は伏せるようにして、
やり過ごそう…としている。

