「これって、川?」
それとも…滝?
そんなトコ、あったっけ?
裕太はすぐに、頭の中で、この島の地形を思い浮かべようとする。
「滝だ」
満足そうに、じいちゃんはその前に立ちはだかっている。
「滝?」
だったら、この向こうに、何かあるのか?
(確か、山の方に、小さな滝はあったけど…)
そこと繋がっているのだろうか?
裕太は何とか、滝の向こう側を見ようとしてみる。
「どうだ?」
いきなりじいちゃんが、裕太を振り返る。
「どうだって言われても…これ以上は、無理だよね?」
じいちゃんが何を言いたいのか、裕太には今一つわからない。
(それともまさか…ジュンペイが、ここから海に落ちたのか?)
そんな様子は、しなかったけれど…
まさかじいちゃんが、突き落したりしなければ…
と思った途端、裕太はゾッとした。
思わず裕太は、下を見下ろそうとする。
だが、こんな切り立ったガケでは、それも無理だ…と、足を止める。
「そうか?」
じいちゃんは、相変わらずニコニコしている。
「本当に、そうかなぁ?」
笑顔を張り付けたまま、じいちゃんはゆっくりと、裕太に近付いて来る。
えっ?
まさか?
「じいちゃん…?」
そんなことを思った自分が恐ろしくなり、裕太は後ずさりをする。
「なぁ、何で裕太もジュンペイ君も…
そうやってすぐに、あきらめてしまうんだろうなぁ」
穏やかな声で近付いて来るので、裕太の足がすくんで、ガタガタと震えた。