「えっ?」
「あれって…」
「ケイタ?」
どうして?
思わず近づこうとするけれど…
「やめておけ」
帽子屋が、二人を止める。
「どうして?ケイタよ」
やっと、見つけたのに…
そう、帽子屋に訴えるけれど、
「あれは…魔の者に、とりつかれている」
だから、よせ…
「もっとも…それでも、かまわないというなら、止めないけどな」
皮肉っぽい顔をして、ケイタの方を振り返る。
「ケイタ!ここにいたのね」
ルークたちの制止を振り切って、アキが前に飛び出す。
だが、ケイタは返事をしない。
うずくまったまま、じぃっとしている。
「ねぇ、どうしてここに?
私たち…ずいぶん、探したのよ」
それでもアキが近づいて来ると、ゆっくりとケイタが立ち上がった。
「アキちゃん!」
その様子を見たカガリが、悲鳴のような声を上げる。
「なに?みんな…ケイタよ!」
どうしたの?
なんで、そんな顔をするの?
変ねぇ~
アキがにこやかな顔をして、振り返る。
そこには、目を赤く光らせて、アキに向かって飛びかかろうと
迫ってきているのが、見えた。
「アキちゃん、逃げて!」
カガリの叫び声が響く。
「魔物め!」
ルークがサヤを取り払うと、ケイタに向かって振りかぶった。