一体、どこへ行くのだろう…

ドキドキしていると、連れて行かれたのは、おしゃれな喫茶店だった。

喫茶店というよりは、今風のカフェだ。

大家さんがほとんど振り返りもしないで、歩いているので、追いついて行くのがやっとだ。

 急にピタリと立ち止まるので、エラは戸惑って、大家さんの顔を見つめる。

大家さんはニコニコして、

「あら、驚いた?

 娘たちに勧められて、新しく建て替えたのよ」

予想していなかったので、エラは文字通り、ポカンとしている。

居酒屋?

宿屋?

見たことのない、きれいなお屋敷だ…と、何をする所かわからないので、

どう対処したらいいのか、わからない。

そうして、こんなきれいな所を所有しているとは、この人はどんな人物なんだ?

どこのお金持ちか、と全く違うところで、興味が湧いて来るのだった。

 

 大家さんが、まさかこんな土地持ちだとは知らなかった…

エラはまたしても驚いてしまう。

いつも地味な服装をして、むしろファッションにも、びた1文使うのは

もったいない…と考えるたちなのだ。

ここにもしも、カスミがいたのなら、

「なに?大家さんって、すごーい!お金持ちだったのね!」

などと、大騒ぎをしていたことだろう…

 

 エラもこの世界に来て…少しは慣れてきたので、おとぎの世界のような、

ちょっとご飯を食べさせる飲み屋さんや、いわゆる飯屋さんとはちがう…

というのは、なんとなくわかっていた。

だけどふらっと入ったお店の光景に、思わずエラは足を止める。

お揃いのエプロン

お揃いの制服…

みんな同じような髪をして、同じようなメイクをしている。

この世界には、なんときれいな所があるのだろう…

目を見張って、ポカーンとしているエラに、大家さんはいつもの玄関掃除を

している姿からは、想像できないような、キリリとした顔で、背筋を

シャンと伸ばして立っている。

何だかそれが、この人の本当の姿のようで…

エラは何だか、だまされたような気分になった。

 

 

 


 

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