「あら、まぁ、一体…どういうこと?」

 とりあえず 別荘へと戻ると、玄関のところで、中年の女性が待ち構えていた。

エラと並んで歩いている、若いメイドのミキの方に、顔を向けると

「何をしていたの?」

詰問するようにして、立ちはだかった。

「それに…あのお姫様は、一体どこ?

この人は、どちらさま?」

 ものすごい剣幕で、メイドへ詰め寄った。

 

 この年若いメイドは、気の毒になるぐらい…うつむいて黙りこんでいる。

さすがに(目の前であったことなので)エラの存在は認めたものの、

一体何が起こったのか…まだ状況が飲み込めないのだ。

(まさか、入れ替わったなどと、誰にも理解出来ないだろう…)

 目を泳がせて、「あのぉ」と口ごもる女の子に、

「ごめんなさい!この人は、何にも悪くないんです」

 オロオロするミキを可哀そうになり、エラはあわてて彼女の前に歩み出る。

女中頭のマーサは眉間にシワを寄せたまま…

「あなた、どちらさま?

 ここは、あなたの来るような、場所ではありませんよ!」

鋭い声で言う。

 するといきなり、扉の外から、ヤギの鳴き声が聞こえてきた。

「あら!あれは なんなの?」

ミキをチラリと見ると、説明を求める表情をする。

オドオドとする、落ち着きのないミキを見て…

マーサはバンとドアを開けて、外へと飛び出した。

 

 玄関ポーチのブランコの柱に、いつの間にか1頭の白いヤギが、ロープで

つないである。

(これ、魔法使いのおばあさんだ!)

すぐさまエラは、誰のシワザか、気が付くけれど…

果たしてこの人に言っても、信じてもらえるのだろうか、と戸惑う。

「なに、これ?」

案の定、マーサの叫び声が聞こえる。

ミキとエラは、ドアの外をのぞくと、ヤギの側で立ちすくむマーサを見つけた。

 


 

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