長かった…と王はそう思う。
何度王子のために、花嫁探しに奔走したことだろう。
本人が本気なのか、というのも疑問だったし、
もはやあの子は、結婚する気などないのではないか…と思っていたのだ。
以前彼が、年上の女性を連れてきたことが、過去にはあったが…
あまりにも崩れたような、男好きするようなタイプの女性だったので、
王もお妃も危惧して、大臣に命じて、それなりの金を持たせて、
城からお引き取り願ったこともあるのだ。
あれから女性の気配もなくなり…
あの時に追い出さなければよかったか…とも思ったけれども。
「いや、やっぱり…あの娘はダメだったと思うわ」
王の気持ちを読むように、急に顔をしかめてお妃が言った。
その後、今度こそは、と思う娘もいたことはあったのに…
今度は王子の方が、中々首を縦には振らない。
シビレを切らして、
「ならば、どんな娘がいいというんだ?」と詰め寄ることもあったのだ。
ええい、ままよ!と幾度も開かれた晩餐の宴…
だがついに!
昨日…魔法使いの老婆と共に、王子がある1人の娘を連れて帰ったのだ。
(正直、若すぎると思ったのだが…)
だが、見れば見るほどに…
どこに隠していた、というくらい、気立てのよさそうな娘だ。
しかも健康な世継ぎを、次々と産んでくれそうな若い女性だったので、
若さは気になったけれども、
「私だって15歳で、王様に嫁ぎましたよ」とお妃が言うので、
この人は千里眼か、とも思ったのだ。
だが気になるのは、とても淡々としていて…
本当に王子のことを好きなのか、と気になったけれども。
恥じらっているのだろう…と王は好意的にとらえたのだった。