突然、あるべきのない人の声がして、驚いたのはもちろん裕太だけでなく、
颯太もだった。
「えっ、なんで?一体どうなってるの?」
一瞬パニックになり、ふと零れ落ちた言葉…
するとさらに、それがマボロシではない、と追い打ちをかけるように
「神社で悪さをするのを、見過ごすわけには、いかないな!」
さらに、腹から響くような声が聞こえてきて…サクサクと、石を踏む音が
近付いて来る。
すると木の陰から、人の姿が現れた。
姿を見せた人物は…神社の神主さんらしき衣を身にまとい、少し年配の老人だった。
声の張りからすると、まだ壮年の50代と思われたのに…その容貌は
それをはるかに上回る年齢のものだった。
あれ?おかしいぞ?
裕太のセンサーが働いた。
どこがと言われても、困るのだが、なんとなく異様な雰囲気だけを、感知した。
何がどうなっているのかは、当の本人にだってわからないのだが、裕太は何か
不穏なものを感じて…目をすがめて、老人の様子を観察した。
およそ見た目にたがわず、落ち着き払った様子で、裕太の視線になど、
全く持ってものともしない。
よほどの精神力の持ち主か、後ろ暗いことなどまったくない、クリーンな人でしか
あり得ないのだが…
もしかしたら、そういう訓練を受けて来た人なのかもしれない。
それを見ると…段々裕太は不安になってきた。
自分の野生のカンは、にぶったのか…と。
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