カタコン、カタコン…

 相変わらず自転車を2人で引きずって歩いていると、港の側から、

釣り竿を持って、のんきに口笛を吹きながら、男が現れた。

「ほらね!」

クスクス笑いながら、裕太が言うと、

「ホントだぁ~」

つられて颯太も、クスクス笑う…

裕太が言った通りだ。

仕事中でも、思い立ったら急に放り出して、釣りに行ってしまう、

困った自転車屋さん。

思わず笑っていると、何も知らない自転車屋のオジサンが、

すぐ側に近付いて来た。

「どうしたんだい?」

笑われているとは気付かずに、ごく自然に聞いて来る。

それから、裕太の押している自転車を見て、

「あーあ!」

思わず、残念そうな声を上げると、

「どうしたんだい?…それにしても…えらく派手にスッ転んだもんだ」

と言う。

転んだせいだ…と思ったみたいだ。

違うのになぁ~と思い、

「ボクたちじゃないです」

すかさず裕太は、否定した。

大体、転んだくらいで、これほどタイヤがボロボロになるわけがない。

すると自転車屋さんも、それはわかっていたようで、

「そんなの、見ればわかる!

 買ったばかりのチャリンコを、ここまでひどいことをするヤツなど、

 そうそういるもんじゃない!」

バカにしてるのか‥と言わんばかりに、真面目な顔で、目を剥いた。

そう言われれば、そうだ…

あらためて、裕太と颯太は顔を見合わせる。

案外、この自転車屋のオジサンは…マトモな人なのかも、とそう思った。

 

 

 

 

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