タカシくんのお母さんの中で、何かを折り合いをつけたようです。

「いい?」

言い聞かせるように、真面目な顔で、カイくんを見つめると、

「じゃあね、ちゃんとメアリーさんの家へ行くのよ」

噛んで含めるように、さらに続けます。

「それからね、きちんと家に連れて帰ってもらうなら…

 行ってもいいわ」

自分でも、どうにか納得のいく着地点を見つけたようです。

帰りたい気持ちと…罪悪感とを伴って、何とかして、正解を見つけたい

一心なのかもしれません…

「うん、約束するよ」

それでもカイくんは…らしくなく、素直にうなづくと、

「寄り道しないのよ?」

それでも少し不安なのか、タカシくんのお母さんは、カイくんの目を

のぞき込んで言いました。

「もちろん!」

「危ないところには、行かないのよ」

「うん」

「まっすぐ、帰ってらっしゃいね」

「わかった」

カイくんが、いつもの反抗的な態度は鳴りを潜めて、別人のように笑顔で、

従順に返事をするので…若干怪しいな、とは思っているようにも

見えました。

だけども、

「わかったよ」「大丈夫」

「ケンタもタカシもいるし」

念押しのように、カイくんが並べると、段々とその気になってきたようです。

「ね?早く帰ってあげないと。熱が出てたら、大変だよ?」

こういう時に、次から次へと言葉を並べるので、

我が子の顔を、チラリと見て…ついに、カイくんに押される形に。

やや不安そうな色を残しつつ、

「じゃあ、気を付けて帰りなさいよ!」

と言うと…気掛かりではあるけれど、とうとうクルリと背中を向けて、

まっすぐに帰って行った…と思ったら、もう1度、子供たちの方を

振り向いて、

「その道をまっすぐ行ったら、あるからね!

 絶対に、寄り道したらダメだからね!」

そう声をかけると

「わかった!」

やけに元気のいい、カイくんの声が響きました。

 

 

 

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