ひどく緊張した面持ちで、老女が入ってきました。

待ちかまえるようにして、立っている善行たちを見て、

一瞬たじろいだけれど。

「お待ちしておりました」

すかさず善行が声をかけると、少しためらいつつも

「まさか本当に、もう一方の人形が見つかったのですか?」

ひどく驚いた顔で、善行に聞きました。

それは全く期待していなかった、というような様子で。

「思ったよりも、早く見つかったんですね…

 私はてっきり、年を越すと思っていました…」

そう、遠慮がちに言う、時子さん。

正直に言うと、善行も同じで

「私もそう思っていました」と、ニコリとしました。

 

「でも…どうしますか?」

いきなり幸次郎が切り出します。

何も聞かされていない善行は、とても驚きます。

一体、何を言い出すんだ…と。

なんとなく、微妙な空気が流れる中、

幸次郎だけが冷静な表情で、時子さんを見つめます。

「どうするって、何を?」

時子さんは、瞳を揺らして、幸次郎を見やりました。

肩のあたりが、緊張で固くなっているのが、善行にも

見て取れました。

「あなたは、あの人形をここに預けましたよね?

そしてもしも、元の持ち主が現れたら、手渡したい…という

 話だった…という話だったと、聞いていますが?」

と聞くと、時子さんが、「あぁ」と言って、うなづきました。

 

 

 

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