「迎えに行くよ!」

裕太が言うと、「ありがとう」と颯太はすんなりと答えた。

通話が終わったあとも、しばらく裕太はそのまま、じっと

していた。

受話器を握りしめたままだ。

「どうした、ユウタ。よかったな!」」

じいちゃんが声をかけるまで・・・指先が真っ白になるくらい強く、

裕太は受話器を握りしめていた。

 

ようやく裕太は、大切な何かを、今まですっかり忘れていたことを、

思い出した。

それはとてもとても、大切なことで・・・心の奥底にしまっておいた

裕太の宝物・・・

颯太と過ごしていた日々を、急に思い出されて、

どうにかして、見つけ出さなければ・・・と、心に決めた。

「電話をもらおうか」

裕太の様子に気が付いて、じいちゃんは声をかける。

裕太がゆっくりと、手のひらを開くのを、じいちゃんは静かに

待っていた。

まるで、爪に渾身の力をこめているようだ・・・

手のひらに、爪の跡がつくくらい、強く強く無意識に

握り締めていた。

「大丈夫か?」

じいちゃんが聞くと・・・裕太は夢からさめたような顔をして、

「うん、大丈夫」と答えた。

「ソウタくん、こっちへ来るんだって?」

気を取り直すように言うので、

「うん」とうなづく。

じいちゃんはもちろん、とうに気付いていたけれど、

それをオクビにも出さずに、ただうなづいて聞いた。

 

 

 

 

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