言いたいことはたくさんあるけれど・・・それがこの子にとって、

いいことであるか、どうかなんて、母さんにはわかりません。

思わず、ひと言、小言を言いそうになったけれども、

おびえたように、身を縮めるケンタを見ると、そんな気持ちもすっかり

失せて、しかたないなぁ~と、あきらめの境地です。

「メダカ、取ってきたのね?」

すごいなぁ・・・と、穏やかな笑顔で言います。

ケンタは、元の姿勢に戻ると、黙ってうなづきます。

「メダカ、かわいい?」

母さんの言葉に・・・今度は大きくうなづきます。

「そう・・・」

母さんはため息をつくと、

「タカシくんと一緒に?」

ケンタ、またこくり。

「タカシくん・・・も、たくさんつかまえたの?」

ケンタは上目遣いで、母さんを見上げ、ゴクリ・・・と唾を飲み込みます。

母さんの顏は落ち着いていて、怒っているようには見えません。

むしろ静かな瞳を向けて、ケンタをじぃっと見ています。

「タカシくんね、すごいんだ!

ひょいひょいって、すぐにつかまえてた」

思わず口から滑り出た言葉に、母さんの顔色を見ると、

あわてて両手で、口を押さえました。

「そうなんだ・・・」

だけども、母さんの表情は一切変わりません。

「楽しかった?」

「うん」

ケンタは母さんが、どうやら怒っていないようなので、少し安心して、

ニコニコしています。

「いっぱいいたんだ!石の陰とか、草の陰とか、たぁくさん、

いたんだ!」

いつもの調子で言うと、母さんは黙ってうなづきました。

 

 

 

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