さすがに1同は「あっ」と思うけれど、オバサンを止める者は、誰もいません・・・

ばらまかれた塩と、あわてて飛び出す男と、バタン・・・とドアを閉める音。

一切が、あっという間の出来事で、オヤジたちは呆気にとられた顏をして、

オバサンを見つめました。

オバサンは、塩を掃き清めるわけでもなく、パッパッとエプロンで、

指先を軽く払うと、

「あぁ、ゲンが悪い!

 ゼンコーさん、悪いけど、コーヒーでも淹れてくれるかい?」

と言って、そのままドスンと、椅子に腰を下ろしました。

 

 ひとまず、お茶を・・・ということになり、善行はとりあえず台所へと向かう・・・

オヤジたちも、オバサンにつられるように、思い思いの場所で座ると、

「なんだったんだ?あの男は!」

まだ興奮冷めやらぬようです。

善行が、人数分のカップを手に、戻ってくると、肉屋のオバサンが、

「すまないね」

少し落ち着いた声で、言います。一瞬、何の音かわからぬままに、

1同は顏をみあわせます・・・

「よく確かめもせずに、連れて来て・・・

 あんな男とは・・・知らなかった」

言い訳のように、口に上らせました。

誰も、オバサンに逆らう気持ちはなく

「ま、しかたがないことだけどさぁ」

善行は、うなづきながら、

「珍しいね、オバサンが見誤るなんて」

幸次郎が、にっこり笑って善行にうなづきました。

 

 

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