善行たちが、何も言わないのに気付いたのか、幸次郎が代わりに
話続けます。
「知りたいのは、この人形のことだ」
と、おもむろに、飾り棚に近付いて、例の人形に軽く触れて、男の方へ
顔を向かせました。
「あなたは・・・この人形のことを、知りませんか?」
その言葉につられるように、男は、ゆっくりと飾り棚へ近付きました。
まさに、吸い寄せられるように・・・
無言で近付いて行き、その人形を目の当たりにすると・・・
「やっぱりそうだ。この人形は、ここにあったんだ」
と、静かに言います。
先ほどから、善行は、男の顔をじぃっと見つめ、
「よろしければ、詳しく話してはくれませんか?」と言いました。
男は、少しためらったように、少し目を泳がせると、探るような善行の目とかち合い、さらに
幸次郎の目に視線がぶつかりました。
「我々も知りたいのです」
幸次郎が言うと、
「私もよくは、知らないんです」と、困ったように頭を振ります。
「知ってる・・と言っても、ほんの数日、見ただけだし、
それもほんの一瞬なんだ・・・」と返すので、
「それでもいいので、教えてください」
いつになく善行は、熱心に食い下がりました。
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