レースのカーテンは補修してあるものの、無残に引き裂かれた

形跡は、今もまだ残されていた。

あるはずの学習机や本棚がなくなった部屋は、がらんどうで、

なんだか寂し気でさえあった。

「また、ここへ帰ってくるように・・・おまじない!」

と、裕太はニッコリと笑って、紙包みを手渡した。

簡素なデパートの包装紙で、どうにか丸めるようにして

セロテープで止めただけの、素っ気ない塊。

颯太は、「えっ?これなに?」

と言って受け取ると、かさばっているわりには、

さほど重くもない包みに、幾分戸惑っているようです。

「引っ越し先に、持っていくのも、あれだしな。

 なくなっても、困るしな」

と、裕太はのんびりとした口調で言う。

 

 家具もなんにもない部屋なので、その場にただ、

デクノボーのように、突っ立っているしかない・・・

顔を見合わせ、立ちすくんでいると、

「この家・・・どうするの?」

と、話題を変えようと、颯太は少し不安そうに聞いた。

「どうするって・・・しばらくそのままだよ」

裕太は、悟ったように、淡々として答える。

「それでいいの?」

颯太が裕太の顔をのぞき込むと、

「いいも何も、今更・・・」

裕太はぐっと、唇をかみしめた。

 

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