すると、またどこかから、パチパチパチ
…と、木のはぜるような音がして、
「えっ?」と、思わず、よっちゃんが叫びました。その時、納屋の方から、メラメラと赤い炎が、見えてきました。
「やばい!みんな、あっちだ!」
 どこから、そんな気力が出てくるのか?というくらい、反射的に、善行は飛び起きて、そちらへ走っていきました。
納屋の入り口に、わざとらしく、新聞紙とか積み上げていて、そこから、火が立ち上っていたのでした。

「一体、誰が?」
 頭をかかえこむ善行に、
「そんなことは、あと回しだ!」
と、幸次郎が叱りつけました。
  火の手はドンドン広がって、納屋の回りにまで、燃え広がり、その時には、
もう、自分たちの手には、負えないことを、善行は悟りました。
あわてて、119に掛けに、走ったのでした。

「ゼンコーさん、早く逃げろ!」
 走る背中に、声が響いて、みんなはあわてて、逃げる態勢になりました。

瞬く間に、火が燃え広がって行きます…
先ほど、消し止めた!と思ったのに、こんな大変なことになるとは…
善行は、茫然としていました。
にわかに、回りが騒然となり、夜中にも関わらず、御近所さんが、ワラワラと、善行の家を遠巻きにするようにして、人が集まってきました。
みんな、パジャマ姿とツッカケ姿で、眠そうにしています。
誰かが、伝えたのでしょうか…
野次馬たちは、特に何をするわけでもなく、ただ見てるだけなのです。
善行は、それに、業を煮やして、
「誰か!誰か、119に連絡して!」
と、どなりました。


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