数年前に行った北海道の最北端の街、稚内

 

寒い場所の食べ物の旬は冬なのかと思ったら全然そんなことなくて、真冬の稚内の民宿でロシア産の輸入ウニをつついた話はこちらを読んでいただくとして、そんな稚内の宗谷岬の向こうにあるのが、ロシアのサハリン島。

 

もともとはアイヌをはじめとした先住民族が暮らす島でしたが、日露戦争を経てサハリン島の南半分は1905年から1945年までの40年間は日本領の南樺太(みなみからふと)になり、多くの日本人が移住しました。

 

そして、沖縄の地上戦と同様に、太平洋戦争時には隣国と接しているが故に樺太でも大変な惨劇がありました。樺太はロシア軍に侵攻されて、多くの日本人は命からがら日本本土に戻って来たのですが、様々な理由で日本に戻って来れなくなった、もしくは戻って来なかった日本の方々が今もサハリンには住んでいます。
 
そんな方々を追った本がこちら。
 
 
こんなに美しい写真と文章のルポルタージュを、そうそう見ないと思うのですが、この両方を手がける著者、後藤悠樹さんが弱冠33歳というのもまたまた驚き。
 
 
 
 

 
この本の一番の読みどころは、切ないけれど、今をきちんと生きていらして、決して悲しくは見えないサハリン在住の日本人の皆さんの生き様でしょうか。僕が教員だったらこれを現代史の教科書にしたい。たぶん、今後何度も何度も読み返す本になると思います。是非手に取って頂きたい作品です。