box

これは、パリオペラ座のボックス席入り口

「5番のボックスは私の為に開けておけ!」そうファントムが言っていたBOX...

「さぞや良い席なんだろう」と思っていらっしゃる方も多いと思いますが

実際は、凄く見えにくいんですよ

ファウスト等の仕掛けが大事なオペラなんかを観たら、仕掛け丸見えで興醒めしてしまいます

では何故、BOX席を貴族は使ったのか?

一つにはセキュリティーの意味がありますよね

もう一つ....

当時の貴族は自分達を見せに行っていたんです

つまりBOX席とは、舞台が見やすい席ではなく

客席から見られやすい場所という事になります

今でこそ、オペラは文化鑑賞の場ですが

19世紀頃までは、社交場だったわけです

「あら、今日はシャイニー子爵がおこしよ。まだ独身なんですって」
「でも良い男ねーー」
「でも、バレリーナに入れあげてるみたいよ」
「そんなの一時の話しでしょ?」
「本気みたい...」
「本当に?」
なんって、貴婦人達が噂しあうのでしょうか?

丁度現代の女性週刊誌や新聞みたいなもんですね

って事はですよ

ファントム客席から丸見えです!

さて...

オペラ座にはお化けがいる

これは、現在のオペラ座でも普通に語られている事です

オペラ座に限らず、歌舞伎座や能楽堂...およそ舞台と名のつく場所ならば、どこでもこういった噂があると思います

学校の七不思議と違う点は、単なる恐怖の対象というだけでなく

時に、畏怖を持って、時に愛着感を持ってこう呼ばれる

劇場のお化け

劇場のお化けは、学校や病院に現れるお化けと違い

大抵チャーミングです

だって、お芝居を観たり、役者にケチをつけたりする...

例えば、ロンドンの某劇場では、17世紀の衣装を着たお化けが客席に現れます

彼が現れる芝居は大成功すると言われていて、プロデューサーがもしお化けを見たら

感激して、走り込んで、抱きしめて、キスをするでしょうね

そう、劇場のお化けは、死んでもお芝居が大好き

「三度の飯より」ならぬ「天国行くより芝居が好き」なのです

まさに、5番ボックス席を毎回リザーブし、オペラの批評を楽しむファントムそのものでしょう?