三重県名張市 名張川の廃止された流れ橋。 | 水辺の土木遺産

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水辺の土木遺産、冠水橋や流れ橋、石橋やレンガ樋門など、自転車で見て回りながら、ついでに狛犬なんかも追いかけています。

昨日の橋から少し進むと、すぐに市境を跨いで名張市に入ります。

 

名張川を訪ねた目的は流れ橋ですが、

地図上でも確認できることの多い潜水橋とは異なり、

地図上では確認できないことが多いのが流れ橋です。

 

なので、

流れ橋文化のある川沿いを行く場合、可能な限り川沿いを走り、

流れ橋がないか? 遺構がないか? 良く目を凝らして進むことになります。

 

 

そういった次第で、河原に製材された木材が転がっていると、

 

 

それだけで流れ橋遺構を探してしまいますが、

……ここなんかは外れですね。明らかに流れ橋がある立地でないため、

単に木材があっただけ。

 

 

それでも河原に降りるスロープがあると、

これもまた、確認せざるを得ないわけです。

 

 

これは……。

 

 

と、坂道を折り切ったところにある小屋の前には鋼線ワイヤー跡もある木材。

当たりですね。ここなどは航空写真地図からは読み取れず、

現地確認で見つけた橋になります。

 

場所はこちら。

 

 

一応補足すると、

地図上でも良く見れば橋脚は見つけられなくもありませんが、

 

 

対岸から一つ目で、こちらの右岸=東側から二つ目の橋脚が流失、

そのため、航空写真地図からでは、橋脚と橋台が自然地形に見えてしまい、

読み取れなかったという次第です。

 

 

そのため、一つ目の橋脚から、対岸の橋台がかなり遠い。

 

 

橋脚の構造からは、何度も世代を重ねてきた、

長く使われた流れ橋であることが読み取れます。

 

恐らく、一番古いのは右側下半分、その後で左側下半分、

左右にずれるのは、自然の岩石などを橋脚に利用していて、

橋脚に使っていた岩がずれた所為かもしれません。

結構流されて場所が変わったりするようです。

 

ですが、自然石を利用した流れ橋では高さがないために、

ちょっとした増水ですぐに橋板が流されます。

 

それを回避するために嵩上げしたのが現在見られる高さであり、

それに応じて橋脚はしっかりと造りこんだのでしょうが、

それが流失した際に廃止されたのか、

それとも農家を廃業して、対岸の農地を耕作放棄地としたことで廃止、

その後に橋脚が流失したのかは判断できません。

 

 

川岸の林の木立を覗くと、鋼線ワイヤーが巻き付いた樹木が残っています。

 

 

近くにはまた別の木にも、深く鋼線ワイヤーの跡が残っていました。

 

廃止済みの流れ橋だったことは残念ですが、

流れ橋の跡が一つあると、この先に流れ橋が残っていることも改めて期待できます。

橋跡に力づけられて、更に下流に向かいます。