先日の最後の写真は、あの場を捉えた写真の中では雰囲気が良かったお気に入りの1枚ですが、被写体がトロッコになっていたのが難点です。
というわけで、殆ど同じ構図であの場の写真を改めて。
いかがでしょうか? トロッコと、橋と、坑口と、見せたいものが多すぎて、写真としては締まりに欠けたものですが、トレッキングコースとして堂々と歩ける廃鉱山の廃景としては、とても豪華なものだと思います。
手前には錆びて動かないトロッコ、がんばって押してみましたがビクともしません。
それより何より、元々がなんのためのトロッコだったのかがそもそも謎という逸品です。
周囲もトロッコ自体も苔むした姿もまた良い感じ。
その下を走るレールは川を跨いで天城鉱山の坑口へと吸い込まれていきます。
昭和の後半まで稼働していたらしい鉱山なのですが、坑口の形状はアーチ型のそれではなく、江戸時代からの鉱山の坑口に見られる間符(あるいは間歩、どちらも読みは『まぶ』)と呼びたくなるような古い形状のものです。
坑口へと中空を走るレールには工事現場の土台を組む鉄パイプで橋脚を載せて、同じく工事現場でパイプに載せて足場にするような板を橋板にした簡易なものですが、注目すべきはレールそのものでしょう。
いかがでしょうか? 廃鉱山は守備範囲外だという道路・鉄道系の人でも、グッとくる場所だと思うのですが、一般の人の反応は? というと、私には分かりません。
先ほどの橋ではどんどん先に進んでいた友人二人も、ここでは川原に下りて回り道、橋が目当ての私としては、ここばかりは上を行くしか! と、橋に挑みましたが2歩目を踏み出せずに敗退しました。
理由はコレ。
橋脚の一本が浮いているために、レールに体重がかかると横に10度以上の角度に傾きます。そうなるともはや橋上に立つことはむり、橋に全体重を掛ける前に諦めざるを得ませんでした。
川の石が大雨のときにでも移動してしまったのかも知れませんね。
目的の橋を渡ることはできませんでしたが、眺めることができてとても満足です。
トレッキングコースは坑口をかすめて別の方角へと進んでいきます。
……これはこれで、とても危険そうですね(苦笑)。
そしてこれが対岸からの眺め。
う~ん、やっぱり渡りたかったなぁ……(でも、私には無理!)。
そして坑口はこちら。
通常、鉱山の坑口などは中で事故がおきるといけないので、頑丈なバリケードやコンクリートの流し込みで閉鎖されているものですが、非常に珍しいことにここにあるのは立ち入り禁止の札を下げたトラロープだけ。
補足するなら、2年位前の写真をネット上で見ると、板で閉鎖されているのですが、その後にはトラロープすらなかった時期があったようで、現在はこの状況。
良識ある一般の人であれば中には入らないでしょう。
そして、この手の趣味を持つ人であれば、閉塞方法の簡便さと周囲の状況から『自己責任』の言葉を胸に、内部散策を検討する場面です。
ソロなら迷うのは自分の仕事ですが、友人たちは迷わず入っていきましたので、慌てて私も続きます(笑)。