牛伏寺断層付近で震度5強/糸魚川-静岡構造線活断層帯 | 大臣。のblog

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大阪から関東に戻って新しい営業所を立ち上げようと頑張るおやじのひとりごと。美味しいものや写真・音楽・機械モノ・歴史・地震・ダイエットや美容など興味のある事を書いています。バックカラーは何故かパープル(笑)最近はギターに夢中♪

先月中旬の記事 に、「これ以上ないくらい危険」と書いた牛伏寺断層ですが。

東日本大地震の影響で断層の滑り方向が変わったので、うんとマニアックな記事をアップしてやろうと思っていた矢先、


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6月30日の朝、牛伏寺断層の近くで震度5強の地震が発生しました。震源の深さがごく浅かったので、強く揺れたのは松本市内の狭い範囲だったようです。


7月1日はたまたま会議で松本でしたが、震源地の近くでは屋根の瓦が落ちたりブロック塀が倒れたり。

私の実家は震源地から15㎞北西で震度3ですが、被害はまったくありませんでした。

松本で短い地鳴りとともに突き上げる震度2の余震を2度感じましたが、あまり気持ちの良いものではありませんねw


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政府の地震調査委員会が6月9日に「福島の双葉断層・東京の立川断層・長野の牛伏寺断層の3か所が動きやすくなり、地震発生確率が従来の長期評価より高くなった可能性がある」と発表したばかり。

牛伏寺断層の近くで地震が起こったので、福島の双葉断層と東京の立川断層も心配になりますね。


ちなみに国内の活断層で、30年以内に地震が発生する確率の順位は以下のとおり。

1.神奈川 神縄・国府津-松田断層帯(M7.5程度) 16%

2.静岡・長野・新潟 糸魚川-静岡構造線断層帯 牛伏寺断層(M8程度) 14%

3.岐阜 境峠・神谷断層帯(M7.6程度) 13%

4.神奈川 三浦半島断層群 武山断層帯(M6.6以上) 11%

  静岡 富士山河口断層帯(M8程度) 11%

  岐阜・長野 阿寺断層帯(M6.9程度) 11%


2番目に確率の高い牛伏寺断層は、本州を南北に縦断する糸魚川-静岡構造線活断層帯の一部で、地震のエネルギーは「M8程度」と言われています。激しく揺れそうですね。


さてさて。
さっそく「都市圏活断層図」で見てみようと思いますが、その前にまず震源の正確な位置を、

東京大学地震研究所の自動地震測定結果「ハーベスト」 で確認します。


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全国地震データ等利用系システム (関東・甲信越地域) で条件を検索して絞り込むと、時系列で位置情報をアウトプットしてくれます。


YR MO DY HR MI SEC LATITUDE LONGITUDE DEPTH MAG picker Comment

2011 06 30 07 02 32.2 38.53309 140.98569 173.2 3.2 auto M3.2
2011 06 30 07 04 27.5 37.64341 139.86453 50.3 4.1 auto M4.1
2011 06 30 07 09 57.9 37.64732 140.05206 7.3 3.3 auto M3.3
2011 06 30 07 14 37.5 35.67394 140.74043 48.5 4.8 auto M4.8千葉県北東部
2011 06 30 07 22 50.2 37.77111 142.08217 18.4 3.6 auto M3.6
2011 06 30 07 31 14.3 38.22770 141.76897 2.8 3.0 auto M3.0
2011 06 30 07 37 37.2 36.71497 141.00536 45.0 3.3 auto M3.3
2011 06 30 07 43 31.5 37.06923 141.71069 -0.1 3.0 auto Z-FI
2011 06 30 07 50 01.4 36.55704 140.99648 8.3 3.5 auto M3.5茨城県沖
2011 06 30 07 53 31.5 36.61926 141.58006 440.7 4.4 auto M4.4
2011 06 30 07 57 17.8 36.46537 138.48595 281.4 3.8 auto M3.8
2011 06 30 07 58 55.6 36.49064 141.62006 88.7 3.4 auto M3.4
2011 06 30 08 00 26.5 36.27751 140.54434 599.1 5.4 auto M5.4
2011 06 30 08 13 04.4 36.43639 141.00716 25.0 3.5 auto M3.5
2011 06 30 08 16 37.2 36.18332 137.95058 -1.2 4.9 auto Z-FI 長野県中部 震度5強
2011 06 30 08 21 25.7 36.18142 137.92938 0.7 4.7 auto M4.7長野県中部 震度4
2011 06 30 08 28 18.2 41.03157 133.57536 -0.0 5.5 auto Z-FI
2011 06 30 08 58 39.6 37.72727 141.68974 -0.7 3.8 auto Z-FI
2011 06 30 09 13 03.9 37.98735 142.75307 -0.0 3.0 auto Z-FI
2011 06 30 09 17 56.6 39.85840 140.71678 31.5 3.1 auto M3.1
2011 06 30 09 20 46.7 35.71242 138.29453 27.8 3.8 auto M3.8
2011 06 30 09 24 34.1 37.17912 141.80550 183.1 3.5 auto M3.5
2011 06 30 09 34 06.2 36.64762 139.25609 20.5 3.1 auto M3.1
2011 06 30 09 37 34.3 35.66498 139.44421 30.0 3.4 auto M3.4
2011 06 30 09 57 52.2 35.20955 139.44987 66.6 3.1 auto M3.1
2011 06 30 10 02 51.6 37.06004 143.06114 -0.0 3.1 auto Z-FI
2011 06 30 10 06 55.0 37.17564 139.48766 139.1 3.6 auto M3.6
2011 06 30 10 19 33.9 35.69581 140.85899 51.7 4.3 auto M4.3

震度5強の震源地は北緯36.1833°、東経137.9506°、5分後の震度4の震源地は北緯36.1814°、東経137.9294°ということがわかったので、次にGoogle maps API 座標取得 を使って

緯度経度から場所を確認してみます。


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(クリックすると拡大します)

震度5強の震源地は、牛伏寺断層から西へ5㎞ほどの地点でした。まだ確認されていない牛伏寺断層に平行な断層があるんでしょう。

震度4の震源地は、さらに西へ2㎞ほど行ったアップルランドのあたりでした。


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ここからはいつもの国土地理院:都市圏活断層図索引ページ ]で。

中心位置の図名は「松本」、調査年は平成10年です。


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ズームして拡大。

震度5強の震源地は「松本盆地」の下の「芳川」の「川」の先っちょあたりです。


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さらに拡大。

右のほうに見える赤い点線が牛伏寺断層、地表にたわみの活撓曲がしっかり見られる激しい活断層です。

図の真ん中あたりに、牛伏寺断層に平行して走る活断層が1本あるのがわかります。

震源地はその西側に2㎞ほどの地点。そうそう、「川」の先っちょです。


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震度5強だった松本市丸の内。真ん中の四角いのが松本城、すぐ左上が旧開智学校です。

市内のほとんどが緑色の「沖積低地(数千年前から歴史時代にかけて河川の作用で形成された平坦地)」ですが、震源がごく浅かったので狭い範囲の沖積低地が大きく揺れたんですね。

安曇野も沖積低地ですが、途中に梓川の扇状地を挟むので揺れが少なかったんだと思います。

松本に関する参考文献は以下のとおり。

1) 下川浩一・水野清秀・井村隆介・奥村晃史・杉山雄一・山崎晴雄(1995):糸魚川-静岡構造線活断層系ストリップマップ.構造図(11),地質調査所.
2) 山崎晴雄;今泉俊文/山崎晴雄・藤森孝俊・粟田泰夫(1991):長野,「新編 日本の活断層-分布図と資料-」,東京大学出版会,196-199.
3) 清水文健;東郷正美/清水文健(1991):高山,「新編 日本の活断層-分布図と資料-」,東京大学出版会,216-221.
4) トレンチ調査地点については地質調査所資料による.


今回の地震が来たるべきM8の前震でなければいいのですが・・。防災科学技術研究所のhi-net を拝見しますと、発震機構解が牛伏寺断層で想定される断層の動きと同じ横ずれ断層型だったようです。
約1,000年周期なのに前回の地震から1,200年が経過しており、いつ揺れてもおかしくない断層だけに今後も注意が必要です。


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