彼は自らの職責に「誠実」に答えた | 第一経営グループ代表 吉村浩平のブログ

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この一週間ほどはスポーツ選手の話題が注目を集めました。一つはプロ野球の松坂大輔選手が沖縄キャンプ中にファンから腕を引っ張られて肩を故障してしまい、開幕ローテーション入りが厳しいという残念なニュースがありました。これには松坂選手もそのファンも、お互いに想定外の重大な事態になり、ただ驚いているというところかも知れません。

 

もう一つは女子テニスで世界NO1になったばかりの大坂なおみ選手が、自身の弱点だったメンタル面を支え続けたサーシャ・バインコーチとの契約を突然に解消するという、意外というかビックリするニュースがありました。

 

ただこれは世界NO1の選手が決めたことなので、周りがとやかく言うことではないでしょう。彼女は、自身を次のステージに引き上げるサポートをしてくれるコーチを望んでいるだけであり、彼女の発言からもそこはシビアに仕事上の契約と割り切っているように見えます。

 

誰もが予想外のタイミングに見える今回の件について、何が足りなかったのか、もし彼女の意図するところが分かれば、それはそれでコーチに期待するニーズとして、ビジネス的な面で興味もありますが、そんなことより年間グランドスラム達成に向けた更なる活躍に期待するだけです。

 

そして何よりも日本中を驚かせたものに、水泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたことを公表し、これから治療に専念するというニュースがありました。「神様は乗り越えられない試練は与えない。自分に乗り越えられない壁はない」とSNSに書いた彼女の言葉が何度も紹介されていますが、まだ18歳と聞くとこの精神年齢の高さに驚愕です。

 

また今回の件では「骨髄バンク」のドナー登録について問い合わせが急増していることもニュースになっていましたが、彼女のような一流選手の言動がもつ影響力の大きさについて改めて目の当たりにすることが出来ました。ただしこれは良いことに違いはないのですが、こうした行動が日本人の国民性なのか世界共通の人間のサガなのか、少し冷めた目で見てしまうのは私の悪い癖かも知れません。

 

もう一つ、この池江選手のショッキングなニュースについて感想を聞かれた、オリンピック担当大臣の「がっかり発言」が、巷の大ヒンシュクを買っています。桜田大臣とは、これまでもサイバーセキュリティ担当でありながら「パソコンを使ったことがない」とか、今回も「オリンピック憲章を読んでいない」とか、恥ずかしげもなく国会で堂々と答弁することが出来る方です。

 

今回の「がっかり発言」は「パソコン使ったことがない発言」に比べれば、まだオリンピック担当大臣として責任ある発言をしようという「意気込み」が伝わるものです。もちろん発言の一部を切り取って批判されている部分があるというもので、池江選手の身体を心配し、その早期の回復を願う言葉があったという、桜田大臣をフォローする情報も次々と出て来ています。

 

そういう意味では、私は桜田氏が今回の発言で「人としてどうなの」とか全く思わないし、それどころか幾多の官僚のように上手に嘘をつけない、本当に正直な人だという印象すら見受けられます。

 

一番の問題は、どんなに正直であっても、一国の大臣として国民に責任を持つ立場にあるものの発言として、これらが全く相応しくないものであることは間違いないし、また自身が全力で全うすべき任務について、パソコンしかり、オリンピック憲章しかり、まったく勉強しよう、努力しようという姿勢が感じられないことです。

 

そして何よりも安倍総理が任命者として、そんな「普通のおじさん」を大臣にして、そのことに何ら責任を感じていないという情けない状況にあるということです。大臣は形式的には「一流の政治家」であるはずです。官僚が忖度して不法行為をしなければならない状況がなぜ起こるのか、総理をはじめ一流の政治家らしく、自身の言動がもつ影響力を自覚して欲しいと思う。本当に思う。