中小企業にチャンスの時代 | 第一経営グループ代表 吉村浩平のブログ

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今年に入ってから一段と冷え込みの厳しさを感じるようになりました。雲一つない真っ青な空は最高なのですが、乾燥しているせいでしょうか、顔にあたる空気がヒリヒリと痛い感じがします。例によってインフルエンザが猛威を振るっているみたいなので、要注意というところです。

 

ところで先週16日の水曜日には、当社のお客様をお招きした新春交歓会が、例年通りさいたま新都心のホテル・ブリランテを会場に行われました。これまで新春交歓会と関東の大雪が重なることが度々で今年も心配をしていたのですが、今回はとてもいい天気で迎えることが出来ました。

 

第一部の記念講演は、第一勧業信用組合理事長の新田信行氏です。今回、講演を依頼したきっかけは昨年6月に埼玉で行われた同友会の女性経営者全国交流会です。その二日目に、埼玉同友会の代表理事を務めている㈱メガネマーケットの久賀さんの報告があり、その後に久賀さんと立教大学の山口義行教授を交えたパネルディスカッションで、新田さんはコーディネーターを務められていました。

 

元みずほ銀行の役員で、しかも金融検査マニュアル作成の際の当事者という肩書きをもつ新田さんですが、なんとも気さくな雰囲気を漂わせ、軽快な語り口です。パネルディスカッションのコーディネーターとしては、とても語りつくせていない勿体なさがありましたし、そのあとで新田さんの著書「よみがえる金融」を読んだところで、ぜひ第一経営のお客様にも新田さんの話を聞いてほしいと思いました。

 

新田さんの話は、柔らかな語り口で、金融機関との付き合い方から第一勧信、自らの組織文化のあり方について展開されます。最後は「中小企業にチャンスの時代」として、激動する今日の経営環境の中で、いかに中小企業ならではの強みを生かし、イノベーションを起こしていくかというもので、期待通りに多くの示唆に富むお話でした。

 

金融機関のあり方ということでは、メガバンクをはじめノンバンクを含めて、それぞれを否定することはないものの、格付金融と担保保証金融でない、定性判断による金融こそが、自分たち中小企業を相手とした金融機関に求められているものであり、未来志向の金融として、時間はかかるものの、人と事業を見て信頼関係を構築することに注力しているという話がありました。

 

またメインバンクとは、こちらが思っているだけでなく相手もそう思い、困ったときに逃げずに相談に乗ってくれる金融機関ですよ、という話、お金の借り方では資金使途と返済方法をきちんとリンクさせることの大切さ、そして金融機関サイドから見た「目利き」のカギとなる経営者の資質については、視点の広さや視点を変える能力、決断力したらとにかく行動するという能力、そして最後に人に惚れられる人間的な魅力を持っている、という話がとても印象的でした。

 

第一勧業信用組合がめざす組織文化のあり方として紹介されたのは、お客様の幸せだけでなく、職員の幸せも大切にするというものです。ノルマが支配するやらされ感でなく「やってみよう」と思え、お互いに「ありがとう」と感謝の繋がりがあり、人の悪口を言わず、細かいことを気にしないで「なんとかなる」という楽観性をもち、そして人の目を気にしない自分らしさを「ありのままに」表現できる組織にこそ持続可能性があるという話で、これは勿論どんな企業や団体にも当てはまる普遍性があります。

 

最後の「中小企業にチャンスの時代」というテーマでは、環境変化に適応することが生き残りの条件となっているという前提のもと、お客様のニーズと競合他社の動きを分析し、そして自社の戦略を考えることで、手つかずの市場であるブルーオーシャンを見つけ出し、チャンスをつかむことが出来るというものです。

 

限られた時間ではありましたが、そのカギとして自社の企業価値を高めるブランディング戦略を意識的に追及することの大切さを話されました。そのヒントは量から質の時代に生きる中小企業の戦略です。言い古されてはいますが、やはり定石ということなのでしょう、ナンバーワンでなく、自社ならではのオンリーワンをめざすことで本当の意味で生産性と収益性の高い企業づくりが出来るというものです。

 

最後に、それは本来、中小企業ほど得意なことなのだから、もっともっと個性を生かして大いにキラめいて欲しいというエールが会場の皆さんに送られました。金融を通して大企業や行政を見てきた人が、中小企業ならではの面白さや存在意義にスポットライトを当て、本当に中小企業に頑張って欲しいと心から願っている、そんな気持ちが伝わってくる新田さんのお話でした。