夕食を取らず、テレビも観ない。そう聞くと「質素ですね」と言われることもありますが、私にとってはその分だけ、静かな自由が生まれます。夜の時間がぽっかり空くと、心は自然と趣味の方へ向かっていきます。


毎晩、寺のスタッフと一緒にサックスの練習をしています。面白いことに、選ぶ曲はなぜか讃美歌が多いのです。お寺で讃美歌?少し不思議な組み合わせかもしれません。けれど、サックス二台でハーモニーを重ねていくと、その音の流れがとても心地よく、いつの間にか時間を忘れてしまいます。


讃美歌には、聴く人の心を澄ませる力があるのでしょう。吹いているこちらも気持ちが晴れて、練習している場所そのものが聖域のように感じられる瞬間があります。宗教を越えて、祈りの歌が持つ清らかさは共通なのだと、音を通して教えられる気がします。


檀家さんから「いつか聴かせてくださいね」と声をかけられることもあります。ありがたいことですが、人前で演奏するにはまだまだ修行が必要です。


けれど、いつの日か寺のどこかで、ささやかな音の供養として響かせることができたなら・・・そんな楽しみを胸に、今夜もまた静かに練習を続けています。