私が酒を飲んでいた期間は大体25年くらい。
その間、他人と比べ多く飲んでいた。
AC(アダルトチルドレン)でもあるし、愛情飢餓感が強かった私の酒の飲み方には若い頃から異常さがあった。
ただ連続飲酒前20数年の酒の飲み方と、連続飲酒をする様になってからの4年間の飲み方は明らかに違っていた。
それは単に朝から酒を飲んだのか、
飲まなかったのかだけの違いではない。
心理的にそれまでとは違う気持ちで酒と付き合う様になっていった。
今回は私自身の振り返りと、酒の怖さを。
①連続飲酒前の20年間
②連続飲酒を始めた頃、孤独に生きる事を決めた
③重度のアル中になってから
④他者を受け入れない
⑤アルコール依存症の怖さ
①連続飲酒前の20年間
私は18歳の頃から酒を飲んでいた。もっと前から飲んではいたが、そんな事はどうだってよい。
私の酒も多くの飲酒家と同じ機会飲酒から始まった。
家で週に何度も酒を飲む様になる事を習慣飲酒というが、私のそれは20歳位からで人よりも早いといえる。
私は39歳までは夕方からしか酒を飲まなかった。
もっともそれでも十分にアルコール依存症といえたのだが、。
酒を飲まなかったのは風邪をひいた時くらいで、年に5〜6日位が休肝日だった。
風邪をひくと酒が飲めなくて、次の日は調子がとても良かった。
②連続飲酒を始めた頃、
孤独になるのを決めた
ある日を境に私は朝から飲む事にした。
🔺その頃を綴った記事
連続飲酒を始めた日、私はよく覚えている。
それは酒で死のうと決めた日の翌日だった。
もう誰にも本音は話さないと心に決めた日。
唯一心を預けられるのは酒であり、それに命を渡した。
覚悟をして飲んだ朝の日本酒は優しかった。
連続飲酒を始めて数ヶ月後、離脱症状で手が震える様になった。
酒で震え出した事は理解していたのだが怖かった。
カウンターでお客に寿司を出す時に手が震えた。
それを隠すには酒を飲めば良い。
俺は酒が好きだし、命も預けた。
一石二鳥じゃないかと思った。
店の裏には酒の置いてある冷蔵庫があった。
そこにはいつも冷酒が置いてあった。どれを飲もうか選び放題で、午前中でもランチタイムでお客がいっぱいいた時でも関係なかった。
私は従業員と妻に見つからない様に300mlの冷酒の半分をラッパ飲みで飲んだ。残りの半分は1時間後にでも飲めば良い。
それを飲んだ後は大抵手の甲で唇を拭いた。
酒が食道を伝うと即座に脳が反応して安心できた。テレビで薬物依存症者が注射をした後「フー」と息をするアレと一緒だった。
③重度のアル中になってから
私は連続飲酒を4年間続けてしまったが、4年は長い。
飯は食べなくなり身体に入れる物は酒しかない。
酒しか入れなくなると身体は維持できない。
皮膚は老いていく。黄疸で顔も白目も黄色くなる。顔を洗うだけ、風呂に入るだけで鼻血が出た。
酒は脳も小さくさせる。物忘れが酷くなった私はお客の注文が覚えられなくなりミスを連発した。
アルコール依存症が深刻になるとアルコール性の鬱になった。それは脳の萎縮も関係している。
連続飲酒をして2年もすると社会生活が出来なくなっていた。大抵の用事は妻に頼んだ。
無理をして仲間と行った団体旅行では離脱症状と鬱で眠れず翌日1人電車で帰った。
その頃にはもう酒は薬物でしかない。
「自分は飲みたくない」と思っている。
だけど脳がそれを許さない。
ドーパミン獲得の為だけに生きる中毒者。
その時私は「いよいよ近づいてきてな」「ずいぶん短い人生になったな」などと思っていた。
42〜43歳位の時だった。
④他者を受け入れない
酒を飲んでいた頃、私は誰も受け入れなかった。
私は1人になりたくて連続飲酒をした。
依存症というのはそういう病気だ。
他人を信用できず、自分も信用できない。
心の奥に閉まって気付いていない問題。
無意識にしてしまった自分の中の本当の問題。
この重度のアルコール依存症時代には解決しなければならない問題が2つになった。
1つは酒そのものをやめて健康な身体を目指す事。
もう1つは、自分が意識さえできていない問題の本質を探し当て、それを認めることだった。
私はとりあえず酒そのものをやめなければと思い、精神科病院を受診した。
⑤アルコール依存症の怖さ
アルコール依存症は単なる孤独と否認の病などではない。
これを分からない専門家や医師が多い。
脳が乗っ取られてしまう病気なのだ。
酒を飲まない人は仕事終わりに「ビールを飲みたい」とは思わない。
冷たいビールを喉に流し「これだよ!コレ。」が必要ない。
それは脳がアルコールというキングオブドラッグを必要としていないからだ。
アルコール依存症者には本人の意思とは全く関係なく脳が「酒を飲め」と命令している。
それから離れる為に必要な断酒期間は半年から1年。断酒の環境に置かれてやっとボンヤリと夢から覚めていく様な感覚。
それくらい時間をかけても足りないぐらい脳はアルコールという薬物にヤラれている。
余りに簡単に手に入る酒に対し、その怖さが正しく認識されていない。
専門家や医師が分からないのに
本人やその家族が気づくだろうか。
断酒を決断できずに消えていく命は年間何万人といるのだろう。
その殆どの人達がアルコール依存症の本当の怖さを知らない。
残された家族の無念さを知らない。
重度のアルコール依存症である人にこそわかってもらいたい。
「酒をやめたい」と思いされすれば、助かる道があるということを。