最近目にしたニュースで色々と考えさせられる事があったものに
ついて、記事にしようと思います。
ttps://www.youtube.com/watch?v=MDmhdEFg2wM
【公園の“意地悪ベンチ”が物議~】(ANNnewsCH)
横から見ると天面が上反りのアーチ状になっているベンチです。
記号で表すと∩こういう形状で、座りにくくて危ないですね。
長居や不正利用をしづらい形状だというような説明もあって、
一概にこういう物を作るのが悪いとは決めつけられませんが、
公共物としてどうかと思うのと、それならいっそ設置しない方が
まだマシなんじゃないかというのが自分の意見です。
帰責性というか、どうしてこういう物が出来上がってしまうのか
と考えると、設計者が一番の原因で、次いで発注者、この場合は
公園を所有する自治体です。公共の工事では、業者は意見を
述べる余地がないといいますか、例えばもっと意地の悪い、
石抱きの拷問の座板、∧∧∧こういう形状のベンチであったと
しても、必ず設計図通りに作らないといけません。
民間の工事だと、積算や打ち合わせといった製作開始以前の
段階で、座りにくくて危険でコストが増えて納期がかかる
これはまずいですよ、と意見を言う機会があって、多分そこか
もっと手前でストップがかかって、出来上がってしまうところ
までは行き着きません。
利用する人や対価を支払う人と乖離した観点でデザインされると
こういう事が起きやすいのだと考えていて、自分の家の庭に
こんな物があったら、多くの人は嫌がるんじゃないかなあと。
設計でもゼネコンおよび工務店所属の人や、既製品のベンチを
製造販売している会社のデザイナーは、身内としての責任を伴う
ので、こういう奇抜な形状は採らない場合が多い気がします。
後からクレームに対応したり、在庫を抱えたりして困るのは
自分も同じ事で、乖離まではしていません。ショップ内装はやる
と思います。ほぼほぼ末端の金額を増やす事にしか興味のない
人間が多いので。むしろ進んでこういう形状を設計して、
オーナーが気づいてストップさせない限り、誰も止めません。
材質にもこだわって、ものすごく高い木を使ったり、鏡面塗装
を指定したりします。そういうのは、付加価値とは似て非なる
というのが台所の意見でして、設計にせよ製造にせよ、
社会のポジティブな必要を満たさない技術は、長い目で見ると
淘汰されていくのだと思います。