台九百二十九話 | 台所放浪記

台所放浪記

料理とか随想とか

最近目にしたニュースで色々と考えさせられる事があったものに

ついて、記事にしようと思います。

ttps://www.youtube.com/watch?v=MDmhdEFg2wM

【公園の“意地悪ベンチ”が物議~】(ANNnewsCH)

 

横から見ると天面が上反りのアーチ状になっているベンチです。

記号で表すと∩こういう形状で、座りにくくて危ないですね。

長居や不正利用をしづらい形状だというような説明もあって、

一概にこういう物を作るのが悪いとは決めつけられませんが、

公共物としてどうかと思うのと、それならいっそ設置しない方が

まだマシなんじゃないかというのが自分の意見です。

 

帰責性というか、どうしてこういう物が出来上がってしまうのか

と考えると、設計者が一番の原因で、次いで発注者、この場合は

公園を所有する自治体です。公共の工事では、業者は意見を

述べる余地がないといいますか、例えばもっと意地の悪い、

石抱きの拷問の座板、∧∧∧こういう形状のベンチであったと

しても、必ず設計図通りに作らないといけません。

民間の工事だと、積算や打ち合わせといった製作開始以前の

段階で、座りにくくて危険でコストが増えて納期がかかる

これはまずいですよ、と意見を言う機会があって、多分そこか

もっと手前でストップがかかって、出来上がってしまうところ

までは行き着きません。

 

利用する人や対価を支払う人と乖離した観点でデザインされると

こういう事が起きやすいのだと考えていて、自分の家の庭に

こんな物があったら、多くの人は嫌がるんじゃないかなあと。

設計でもゼネコンおよび工務店所属の人や、既製品のベンチを

製造販売している会社のデザイナーは、身内としての責任を伴う

ので、こういう奇抜な形状は採らない場合が多い気がします。

後からクレームに対応したり、在庫を抱えたりして困るのは

自分も同じ事で、乖離まではしていません。ショップ内装はやる

と思います。ほぼほぼ末端の金額を増やす事にしか興味のない

人間が多いので。むしろ進んでこういう形状を設計して、

オーナーが気づいてストップさせない限り、誰も止めません。

材質にもこだわって、ものすごく高い木を使ったり、鏡面塗装

を指定したりします。そういうのは、付加価値とは似て非なる

というのが台所の意見でして、設計にせよ製造にせよ、

社会のポジティブな必要を満たさない技術は、長い目で見ると

淘汰されていくのだと思います。